2013-01-27

babysitter / EYE

カナダ、ビクトリアのバンドbabysitter。昨年12月にリリースされた「EYE」
2010年頃から活動しこれまでにカセットやKorean Gutとのスプリット7"で作品を出してきましたが、今回のデビューアルバムは地元では無くモントリオールのレーベルPsychic Handshakeからのリリース。
出だしからふつふつと煮えたぎる様な荒々しいヴォーカルの#1 "Talkin bout the New Generation"を筆頭にガレージロック色が濃く出ています。ピリピリとしたノイジーなギターサウンドに安定感のあるメロディクなベースライン、直線的でタイトなドラム。一気に加熱する様にそれぞれ曲の長さも短いパンク的な物が多い。そういったストレートさがカッコ良く、魅力だと思うでも自然か故意かは不明ですが、荒ぶるヘビィで骨太ロックながら適度な「ゆるさあってバランス感が絶妙。歌い方もあるのかもしれない。アルバム全体的にも単調では無いので聴きごたえ抜群。川の流れ(?)の音がバックに流れる#6 "Crace Mountain"は弾き語りの様なしっとりとした曲を挟みつつ、#8 "Whole Hole"ではどっしりとしたややサイケな展開を見せたり#12 "Holiday"は繰り返すリズムが次第に変化していきうねりを見せていく部分もあって変化球もお手の物。最後急に小気味良いピアノに変わって思わず拍子抜けしてしまいます。この曲の他にもピアノを取り入れた曲がいくつかありなんだか愛嬌のある一面も。こういう感じかと思っていると予想外な所からパンチが飛んで来る。聴けば聴くほどハマっていく13曲
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Psychic Handshake : CD/LP[released] December 3,  2012
bandcamp : Degital

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おまけ:アルバムとは若干バージョンが違いますが、これはSPLIT 7" w/ KOREAN GUTのHoliday

2013-01-20

スッパバンド / KONTAKTE

東京を拠点に活動するスッパバンド (Suppa band)はスッパマイクロパンチョップ (suppa micro pamchopp)の水越タカシを中心とするバンド。昨年12月にリリースされたファーストフルアルバムとなる「KONTAKTE」。初めて彼らの音楽を聴いたのは昨年のオルグでのライヴでその時は頭が混乱しそうなぐらい圧巻、それでいて繊細な美しさがあると感じたのですがこのアルバムもまたそんな衝撃が詰まっている1枚。
ややトロピカルな雰囲気が聴いていてわくわくする #3 "大豆"はヒップホップ調にめまぐるしく歌詞が溢れ出す。#7 "ツゴイネルワイゼン"などでもそういった特徴があって、歌詞をよく聴いたり読んだりすると分かるのが身近でリアルな現状の事を題材にし、喜怒哀楽の様々な感情が渦巻いている。でも歌い方はいたって平穏というか浮遊感があって独特。ユニークでやんわりとした印象ながらも、そこにある種アンチな感情も巧く練り込んであるのが伝わって来るのが良い。タイトルもひねりが効いている #2 "ラブミー0点ダー"は対照的にしっとり歌い上げながら熱を帯びていて、夕暮れの様なセンチメンタルさが感動的。ラストの#8 "キアヌリーブス"はメロウで高揚感たっぷりに締めくくる。
サウンドはとびきりポップ。時に一体となる凄み、時に個々の音が自由奔放に飛び交っていて非常に豊か。耳にすんなりと馴染んでいく心地良さがある。バンドメンバーは他でも活躍する岸田佳也(トクマルシューゴバンド他)、 DJミステイク(PANICSMILE)、マスダユキ(俺はこんなもんじゃない)、橋本史生(星ト獣)というのも表現力を二重三重にも増進させているのでは。ちなみにゲストミュージシャンとしてフルートとコーラスで麓健一が参加しています。—————————————————————————————————————————
 
kiti : CD[released] December 12,  2012

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アルバムの魅力がちらちら垣間見える、アルバムのダイジェスト映像。
 

2013-01-14

Broadcast / Berberian Sound Studio

一昨年の1月14日、肺炎の合併症により42歳という若さで亡くなってしまったBroadcastのTrish Keenan。以前からメンバーが序々に減っていっており、最終的にほぼデュオ状態で活動していたバンドはそれによって現在James Cargillただ1人だけ。しかし彼は活動を続ける事を選択。今年1月にリリースされたこのアルバムはイギリスのPeter Strickland監督の映画「Berberian Sound Studio」のサウンドトラック。ホラー映画である事や、その雰囲気によるものもあると思うが、何かが起こりそうなダークで不穏、どこか閉鎖的な空気が漂う。突如映画本編の声も入る事によって緊張感が増す。しかし断片的な中にも元々持ってるセンスの良さや音へのこだわり、エクスペリメンタルさが程よく主張されている。世界観がしっかり映し出されてる印象も受けるので、もしかしたら映画を観てから聴くべきなのかもしれないとも思った。Under the Radarのインタビューによると、そもそもこの作品はTrishと共に生前に手がけ始めたものらしいので、よってBroadcastの作品と言えるのだろう。彼女の声なのだろうか。ただ、途中に後ろでほのかに響いている声がなおさら遠く聴こえて美しく切ない。やはりどうしても一番大きい要素ともいえるヴォーカルを失ってもう以前の様には絶対に成り得ないという考えが頭をよぎるが、それでも続けて完成させるのは(これは勝手な想像だけど)相当な葛藤や決心が要ると思う。
先ほど挙げたインタビューでJamesが言っている、彼女が生前残した沢山のテープと4曲はこのサウンドトラックとは別なんでしょうか?今回だけでは今後どうなっていくのかまでは分からないが、解散せずに活動を続けて作品を出しているという事が嬉しい。次のアルバムがあるとすれば、もっとBroadcast自身に焦点を合わせた作品になるのではと想像してしまう。
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Warp Records : CD/LP/ Digital [released] January 7, (N. America 8,) 2013 

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映画のオフィシャルのトレーラー。映画の空気感が垣間見えます。