2013-06-30

Shimokitazawa Indie Fanclub 2013 : 6/23

先週の話になってしまうのですが、2010年から始まり今年で4回目の開催となる下北沢のライブハウスサーキット型フェスティバル、その名も 下北沢インディーファンクラブ(Shimokitazawa Indie Fanclub)に初めて行って来ました!
店舗なども含め16カ所同時進行で出演バンドも東京の他に北海道、名古屋、京都、さらに韓国2組と、どのバンドを観るか迷いに迷う充実ぶり。

 【観たバンド】
・Ogre You Asshole (GARDEN)
・シャムキャッツ (FEVER)※
・Alfred Beach Sandal (SHELTER)※
・MILK (SHELTER)
・Turntable Films (CLUB Que)※
・Homecomings (Daisy Bar)
・ミツメ (FEVER)
※印はキャパオーバーで入場規制がかかったもの。

各バンド全部フルで観たので7バンド。はしごしまくって10以上のバンドを観た人も結構居たのでは?最後の時間枠のミツメ以外はどのバンドも演奏時間は30分ほど。
確かに通常に比べれば短いが半日だけ、しかも色々あれもこれもとがっつり観る事を考えればこの位が程良いと思えた。

この日は梅雨にも関わらず天気にも恵まれた。まずOgre You Assholeを観にGARDENへ。開演ぎりぎりだったのでライブハウスはすでに人で溢れかえっている。始まると同時に一気にヘビーなサイケ空間へと持っていく手腕はさすが。じりじりと暴力的とも言える音の凄みが恐怖さえ感じた。("素敵な予感(alternate version)"だった模様)そこから打って変わり2曲目で"ロープ"のゆるやかに弧を描く様なサイケさへの切り替えというか明暗の付け方に鳥肌が止まらなかった。30分で2曲というのも然り、真っ昼間にもかかわらずMCでこんばんはと言っていたのも納得。


少し離れた場所にある(徒歩でも移動できる距離)FEVERに移動しシャムキャッツ
彼らのライブも何度か観た事があるのだが、この日は特に熱量が凄かった。畳み掛けるように曲をこれでもかと演奏し新曲も披露、これまでと少し質感の違った曲がライブでもすでに映えている。持ち枠を存分に使い切った潔いライブだった。


次にSHELTERへ観に行ったAlfred Beach Sandalもまた、30分ながら一気に観客を引き込む様な素敵なライブだった。今回はトリオ編成でファンキーなリズム感に体が自然に動いてしまう。伸びやかなヴォーカルもここがライブハウスだという事を一瞬忘れてしまう様な風通しの良い心地良さ。

少し休憩した後、同じステージに登場したのは今回衝撃度で言えばダントツの名古屋のMILK。音こそペラペラしているものの、もう始めから沸点みたいなハードコアパンク。
何が起きてるのか把握する前に曲がどんどん演奏され、あまりのパフォーマンスのインパクトに最後はもう笑うしか無い。観客ももちろん大盛り上がりでアンコールを求められ3回ほど(1曲おそらく1分未満)演奏したのも面白かった。

急な雨には驚いたが20分ほどで止んだ。京都のバンド、Turntable Filmsを観にCLUB Queへ無事移動。途中から入場規制がかかったのもありもうこれ以上は入らない感じだったがなんとか観れた。安定した演奏、表現力の高さがキラリと光る。それでいて引き出しの多さや柔軟性を背後に感じるような軽やかさが観ていて清々しい。


Daisy Barに場所を変え同じく京都のHomecomings。女子3人+男子1人というメンバー構成にも注目だが、演奏を聴いてますます強く惹かれた。メロディーはこれでもかと言うほど甘酸っぱいし疾走感もあって芯がしっかりしている印象。どこまでもこれから可能性がある様な発展途上的な感じもかなり好感。


最後も何を観るか決めかねていましたがFEVERへミツメを観に。
正直に言うとミツメは今まであまり聴いた事が無かったのですが、もっと早く聴いて居ればと大反省しました。とろけるサイケな浮遊感に耳に残る音のギターやシンセサイザーの残響感。演奏も力強くタイトながら表現は緻密でそこに柔らかいヴォーカルがふわっと乗っかり絶妙なバランス。感動しまくった挙げ句、CDを買って帰路へ。

 
アーティスト欄から分かる様にこれだけの出演数だと観たいバンドの当然出番のかぶりもある。これは混雑を避けるための措置でもあるらしいが、チケットはソールド。人の流れは完全に予測は出来ないのでなのでそこはあまり気負わず楽しむのが良さそうだ。それによって人それぞれスケジュールが全く違い、十人十色になるのもこのタイプのフェスティバルの特徴で面白い。 
好きなバンドはもちろん、初めて知るようなバンドも気軽に観れるのも魅力だと思う。非常に濃厚な半日だった。来年も開催したらぜひ行きたいと思う。

2013-06-16

The Courtneys / The Courtneys (S/T)

バンクーバーの女子3人組The Courtneysの6月にリリースされたデビューフルアルバム。
まさにセルフタイトルのデビュー作に相応しいと言える勢いやフレッシュさが聴いてる側の心を強く動かすような感じだ。#1 "Nu Sundae"からして瑞々しいメロディやギターサウンドも冴えわたり、そこにガレージ/パンクな疾走感も相まってそのスピードは始めから終わりまで落ちる事なく保たれている。どちらかといえばシンプルでありながら、だからこそタイトさが問われると思うがもちろんそれは大前提で、さらに根底にしっかりとした意思が感じられるのがすごくカッコいい。骨太な演奏で安定感も抜群でインパクトに溢れたサウンド。とは言え細かい部分は色々な影響も感じられる。#2 "Manion"のようなメロディアスなヴォーカルに掛け合い的なコーラスが入る曲が多い。それがトリオならではの一体感を強くしてパワプルかつ、曲をより魅力的にしていると思う。あと気になるのは彼女らのfacebookや#7 "K.C. Reeves"の歌詞を見てもキアヌ・リーブス推しでよく出て来るキーワード。(タイトルになった2012年リリースのカセットのジャケも)象徴的な物としてやはり90年代の影響が一番強いのでは。ラストの#8 "Social Anxiety"が終わる頃にはまた何度もリピートして聴きたくなるし、なんだかこちらまで勇気づけられる様な心強い1枚。
アルバム表面の写真はギターのCourtneyですが裏面にはドラムとベースのJenとSydneyが。ちなみに姉妹風なあだ名もありますが実の姉妹では無いようです。メンバー全員以前にも別のバンドでいくつかの活動を経ていて、現在ベースのSydneyはShearing Pinxのメンバーでもあります。 —————————————————————————————————————————

Hockey Dad Records : LP[released]June 7, 2013
bandcamp : Digital
*Be A Primitive (Japan) : CD ※6/24追記

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同郷のあのバンドが曲名の由来なんでしょうか、冒頭#1 "Nu Sundae"のビデオ。
The Courtneys: "Nu Sundae" from Rookie on Vimeo.

ひと際パワプルな#8 "Social Anxiety"のビデオ。
THE COURTNEYS - SOCIAL ANXIETY from Crystal Dorval on Vimeo.

2013-06-10

Monomyth / King, Does This Not Please You? (Behold the Power)

カナダはハリファックスのバンドMonomythのニューEP「King, Does This Not Please You? (Behold the Power)」
4曲ながら彼らの魅力が凝縮されている内容。だるっとしたヴォーカルに小気味良いリズムやハーモニが耳に残って離れない#2 "Vision"は脱力サイケポップ。#3 "Coastal"では他とタイプが異なり完全にシューゲイザーなサウンドが炸裂している曲。まどろむギターの揺らぎからそのままの空気を引き連れてそこから脱出する様にアップテンポになってゆく。
全体で思えばサイケガレージとシューゲイズの線引きが結構はっきりしている感じだ。というのも以前は全体的に霧がかった様な残響感があったのに対し、今回は曲それぞれの特徴が浮き掘りになっていてダイナミックで明快な印象を受ける。割とオーソドックスな要素だがそれらを適材適所に散りばめていて飽きさせない。
そして少しぎょっとするアートワークのごとく、良い意味で抜けずにアクが残ってるユニークさがハマります。
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bandcamp[released]May 17, 2013

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#2 "Vision"のミュージックビデオ。ちなみに全4曲のうち3曲がビデオになっています。

2013-06-09

Hooded Fang / Gravez

今年の5月末にリリースされたトロントの4人組Hooded Fangの3ndアルバム「Gravez」
レーベルはカナダ本国のDaps RecordsとイギリスのFull Time Hobbyから。
サーフガレージとして括られる事の多い彼らですが、前作のビーチが目の前に浮かぶ感じと比べるとやや陰があってビターな印象に。コーラスワークが減った事でよりヴォーカルの存在が一層濃くなり、タイトな格好良さが前面に出ています。タイトル曲の#2 "Graves"が象徴しているかのごとく力強く突き進む熱量がアルバムからダイレクトに伝わってくる。バンドとしての筋力がぐっと上がったと思うほど、#6 "Sailor Bull"のストイックな雰囲気といい一体感はかなりある感じだ。勢い良く疾走する曲が多いが、その反動か#4 "Bye Bye Land"はより哀愁が漂っていてメロウに響く。チラチラ落とし込まれている陰も程よいアクセントとなってるのでは。
メンバーの内2人はPhèdreとしても活動していて、当然こちらはまた別の表現をしているのだろうし比較するのは違うかもしれないがダークな生々しさがほんの少しだけ#9 "Genes"にも通じる気がした。もう一つ気になったのは、前作でも初め、中、終わりと区切る仕切りの様な曲があったが今回も"Dry Range Intro"から始まり再び同じフレーズが出て来る"Dry Range Outro"で終わっておりアルバムの雰囲気がそのまま巧くパックされ、完結されている。 
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Daps Records : LP/Digital[released]May 28, 2013
Full Time Hobby : LP/CD/Digital[released]May 27, 2013  
 
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先行で公開されていた#2 "Graves"のビデオ。

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#6 "Sailor Bull"のセッション映像がグルービィでカッコいいです。


2013-06-02

Fair Ohs / Jungle Cats

イギリスはロンドンのトリオFair Ohsが今年5月末にニューアルバム「Jungle Cats」をリリース。2011年の「Everything Is Dancing」以来で2枚目のフルアルバム。
始めに公開されていた #1 "Green Apple Milk" や#6 "Ya Mustafa"では相変わらずの夏を彷彿とさせるトロピカルな雰囲気が垣間見えていたがアルバム全体と通して聴くとまた違った印象を受け、当然の事ながらそれだけにとどまらない喜怒哀楽が前面に惜しげ無く出ている。始めの方で気を緩めていると#2 "Citric Placid"で目の覚めるようなパンチの効いたゴツいサウンドにハッとする。ハードコアバンドだったのでその要素は根底にあると思われるのだが、何と言うか今回はそれがさらに唐突になって大胆。ある意味次の展開が読めないスリリングさは最高だと思う。メロウな部分からぐっと一気にパンクな展開に切り返すメリハリが鮮やか。メロディーラインは逆にもっとエモーショナルになっていて、#5 "Panama Red Jets"のようにヴォーカルは伸びやかで力強い。ハーモニーが強化されているのか背後には女性コーラスも取り入れた曲もあってオリエンタルな感じもほんのりする。(他に楽器も多数使われているのでは)前作が比較的雰囲気を同じトーンで統一させたものだったとすれば今作はもっとトロピカルカラーだけは無いカラフルさでもう一段階広がりを堂々と見せつけたアルバムに思えた。
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LP[released]May 28, 2013
*Dream Beach Recordings : LP/CD

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若干謎な#6 "Ya Mustafa"のビデオ。


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2012年の映像ですが今回のアルバムにも収録されている#9 "Salt Flats"は以前ダウンロードコード付きポストカードとして発売された曲。