2013-09-30

Gold / Losing Your Hair EP

カルガリーのバンド、Goldの「Losing Your Hair EP」は7"としてMammoth Cave Recordsからリリースされたのは今年の8月ですが、少し時間を数年前に戻して捉える必要があるのかもしれない。と言うのもこのEPをレコーディングしたのは元Women、Goldのメンバー/ドラマーでもあった、故Chris Reimer。
#1"Drugs" やどの曲でも印象的なのはVo/GのKaelen OhmとRena Kozakの2人の織りなす芯の強いハーモニー。爽やかでポップな音色が跳ねる#2 "Losing Your Hair"、#3 "Torchlight Parade"でも歌だけでなくギターの掛け合いが繊細かつ躍動感に溢れていてそれが曲全体に柔らかさを加えている。Matt Swann(Extra Happy Ghost!!!Astral Swans)の弾くベースは曲のコントラストを強めているし、ドラムの軽やかな安定感もさり気なく全体をまとめているようだ。 
「もし」と言いたくありませんがこの4曲は元々はEPで完結するつもりでは無かったのではなかろうか。(もちろん勝手な想像ですが)現在も活動を続けているバンドにとってもこのEPをリリースする事は非常に重要な意味を持つのだろう。止む事の無い様なドリームポップ。 キラキラと輝きを放つメロディが美しくも切ない。バンドのゆったりとした良い雰囲気が時間を止めてそのままパックされたような感じにも思える。—————————————————————————————————————————

Mammoth Cave Records : 7"[released]August 30, 2013
*bandcamp : Digital

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今年のSled Islandセッション映像。EPから"Waters"
Gold - Waters from Paul Chirka on Vimeo.

2013-09-20

Chevalier Avant Garde / Resurrection Machine

カナダはモントリオールのデュオChevalier Avant Gardeのセカンドフルアルバム
「Resurrection Machine」リリースは同じくモントリオールのレーベルFixture Recordsから。デビュー作「Heterotopias」の他にスプリット7"でのリリースもあった彼ら。
1曲ごとと言うよりはアルバム通して聴くと何か大きなもの(ないしそちら側)にぐっとのめり込んでしまう強い引力。その世界観にどっぷり浸れる感じがする。冒頭#1 "Nowhere"の爽やかに煌めくシンセポップから始まり、合間のインストゥルメンタルの曲#3  "Five Of Cups"ぐらいから序々にどこかに迷い込んだ様な不思議な空気が漂い始める。空間が歪む様なスペーシーなトリップ感。ユニークなのに音に棘が無く角が取れたなめらかさ。ミニマルですっと体に吸収されて、ひんやりとした中にもおほろげに存在する温度がとても心地よい。変化していくサウンドに馴染んで表れては残響と共に消えるヴォーカルの感情の移ろいも印象的だ。特に#8 "The Love Run"はメロディの奥にこもった暖かみを感じる。
躍動感のある#7 "Return"や#11 "Nothing Between"などはアーバンな雰囲気も醸し出しつつ、その輪郭は極めて有機的。どこまでも繋がっている奥行き感と瞑想するようなドリーミーな残響に包まれる。聴く度に違った発見が出来そうなアルバム。
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Fixture Records : LP[released]September 10, 2013


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#1 "Nowhere"のミュージックビデオ






2013-09-16

Man Man / On Oni Pond

フィラデルフィアのバンドMan Manのニューアルバム「On Oni Pond」フルアルバムとしては2年ぶり5作目。2004年からほぼ同じ様なペースでリリースでアルバムを出していて、
中心人物のHonusは間に別のプロジェクトMister Heavenlyでも活動していたのもまだ記憶に新しい。プロデューサーは前作と同じMike Mogis。
静かにイントロダクション的に始まる#1 "Oni Swan" から一気に豹変する#2 "Pink Wonton"の迫力にまず圧倒される。10年近く活動しているのにまだまだ本領発揮と言った感じがかなり好感。そして先行で発表されていた#4 "Head On"はチャーミングなメロディがひと際目立つ。#7 "Deep Cover"のようなほぼアコースティックの様な曲も強い印象。
打って変わり少しレトロな感じがするダンサブルさの#8 "Pyramids"もあくまで生音重視でがっちりブレずに展開している。一番の強みはやっぱりエモーショナルなHonusのヴォーカルな気がしてくるが、そのインパクトと同じ位音も華やか。特にドラムが叩き出すタイトで時に攻撃性の強いリズムも重要なポイントなのだろう。#13 "Born Tight"の突き進む様なにぎやかさもどこか心強い。
全体を通して曲のタイプに富んでいるのにどれも充実してるし、決して中途半端感は無い。全部一旦吸収してそれを巧く、のびのびと発揮させている。もし共通しているとすれば「エンターテイメント性」なのかもしれないとも思った。
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ANTI- Records : LP/CD[released]September 10, 2013


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#4 "Head On"のミュージックビデオ
 

2013-09-08

Viet Cong / Cassette

カルガリーのViet Congは元Womenメンバー2人とScott Munro、(Chad VanGaalenバンドのギタリスト)元Sharp Endsメンバーからなるバンドでいずれも同郷で活動している同士。タイトルやアートワークからカセット作品だと思われますが現在bandcampではデジタル音源が公開、購入出来るようです。追記 :  Mexican SummerFlemish Eyeから2014年に再発(カセットでは無くLP)
#2 "Unconscious Melody"でも分かるのは軽やかながら耳に刺さるギターの音色や安定感抜群のミニマルなリズム、そして控えめに入ってくるスペーシーなシンセの音色がいいアクセントに。そこに熱の籠り具合が渋いヴォーカルが絡む事で全体的にある種のグルービーさや生々しい立体感を生み出している。それよりもう少し荒削りな#3 "Oxygen Feed"ではメロディの強さを感じる。とはいえポストロック/パンクな印象が強く、最後の#6 "Select Your Drone" はまったりした展開から一気に不意を突かれるような不穏な唐突さもあって面白い。特に後半はハーモニーの合間に刃物の様な鋭さも出ています。
レコーディングの時期やアプローチの仕方なのだろうか、各曲の質感に微妙に差があるようにように思える。(あえての事かも)アメリカツアーもしているようなのでフルアルバム位のボリュームになると一体どんな展開になっていくのか、ぜひ聴きたい。
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*bandcamp : Digital / (Cassete)[released]September 5, 2013


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