2013-12-30

My favorite things-2013

【Live】
特に印象に残ったライブ3本
2/18 Thee Oh Sees @O-nest  
つい先日残念ながら活動休止を発表したThee Oh Sees、まさかの来日公演。サウンドチェックの時から観客の「期待しまくってる!」オーラがひしひしと。日本でもずっと待っていたファン(当然自分も含めて)の気合いが伝わる。いざ始まった瞬間からもう大盛り上がり。爆音とうねるギターに迫力満点のリズム。想像以上のアツいライブに大満足です

9/16 The Enemies @八王子RIPS
思えばリリースの度に来日してくれているアイルランドのThe Enemies。
毎回観ていて思うのが、楽曲の演奏難易度がえらい高そうなのに決してテクニックをひけらかすような感じでは無く余裕を見せつつ、のびのび楽しそうに演奏している姿がとても和みます。今回は初めてヴォーカルの入った曲も聴けて、それが彼らの和やかキャラにさらに輪をかけるようで良かった。スケール大きいサウンドに細やかな表現が光り安定感抜群。 

12/7 Moonface @神保町 試聴室
ピアノとヴォーカルだけなのに、むしろそれでこそ最小限に近い形になる訳で様々な感情がダイレクトにこちらに伝わって来る凄みはさすが。熱く1曲弾き終わるごとに傍らに置いてあるグラスを観客に向けありがとうと乾杯の仕草をしているのも印象に残った。その日は予約で満員状態。後に演奏したyumboのアンコール時にスペンサーもピアノでさり気なく参加していたのも素敵なライブに。

Shimokitazawa Indie FanclubHostess Club Weekenderなどのフェスもとても楽しんだ一年でした。
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【Record Label】 
Fixture Records
毎回出すリリースが素敵すぎるカナダ・モントリオールのレーベルFixture Records。タイプは様々でも空気感と言うか、芯が通っていて一貫とした共通点(場所以外で)もあるように思えます。これからのリリースにも注目です。非常に楽しみ。






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【Band】 
カナダはカルガリーのWomenは解散してからも4人全員に「その後」がしっかり存在する事がとても興味深かったと同時にWomen時代に出した2枚のアルバムはそれぞれの創作方針がぶつかりながらも絶妙に融合しているアルバムだったのではと改めて思った。しかし新しいバンド/プロジェクトから色々と発見する事は多く、とても新鮮。

※他にも色々ありますが、あくまで2013年にリリースされたもの中心に挙げます。
Cindy Lee (Patrick Flegel) 元の作品自体は去年ですがスプリット7"は今年。
今年2月には当ブログでインタビューも行いました。※削除しました(2014.5.3)


Viet Cong(Matthew Flegel,  Michael Wallace)


Gold (Christopher Reimer)

Chrisは生前のソロ作が「The Chad Tape」として昨年リリースされている事も忘れてはいけない。

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【Albums,(EP)】  
※ABC順です(in alphabetical order)

Alex Calder : Time

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Alfred Beach Sandal : Dead Montano


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The Courtneys : S/T


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CROSSS : Obsidian Spectre


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The Dodos : Carrier




DOG DAY : Fade Out 

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Dr. Dog : B-Room


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Faux Fur
: S/T

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Freelove Fenner : Do Not Affect A Breezy Manner

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Ghostkeeper : Horse Chief! War Thief!
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Hooded Fang : Gravez
 
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Jay Arner : S/T



ジョセフ・アルフ・ポルカ(Joseph Alf Polka: S/T

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No Joy : Wait To Pleasure

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Mazes : Ores & Minerals


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The Silver Skeleton Band : Snake Highs

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今年もForgotten Hallを観て頂きありがとうございました!
よいお年を〜 
 

2013-12-26

TV DINNER / The Movie

アトランタのThe Clap(現在は活動していない模様)メンバーらによる新プロジェクトTV Dinner今年の3月にbandcampにデジタルでリリースされていた4曲「The Movie」
音を聴くとこれまでのサイケガレージでは無い。一つのジャンルに収まらずに、断片的なものを組み合わせたようなコラージュに近い。まだまだ試行錯誤の最中といった感じながらもDIY感たっぷりなビデオがすでに何本かあり、これにも注目したい。映像と合わせると彼らのビジョンが見えてきそうでかえって謎が深まるような気も。#1"Papa Gâteau"はスクリーンに女性が歌う姿を映し、それに合わせて淡々と演奏している。といったそのままな演出なのだが二次元的な感じがさらに強まり柔らかい歌声がどこか冷たく若干シュールな印象。#4 "Micro.wav"は一早くyoutubeで公開されていた曲で、ゴリゴリとした質感にポップな反復メロディが脳裏に焼き付く。完全に家の中で繰り広げられるゆるい宇宙観の#3 "Radioactive Make Out Club"もナイスだ。
4曲とも方向性は統一されておらず、次にどうなるか分からない自由な展開。それぞれ別のフィルター越しに見ているようだ。ただ、音やメロディにレトロでクラシックな空気がほのかに漂っているのは以前からの特徴なのかもしれない。この大正ロマンっぽい感じのアートワークが気になりますがThe Clap時代、メンバー自ら曲にこんなビデオをサンプリングしてたのを思い出した。このプロジェクトはその後どうなっているのか不明ですがこのある意味ひょうきんな感性は失わずに居て欲しい。
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bandcamp : Digital[released]March 17, 2013

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2013-12-23

Ketamines / You Can't Serve Two Masters

トロントのバンドKetamines、今年9月にリリースのニューアルバム「You Can't Serve Two Masters」タイトル曲の#1 "You Can't Serve Two Masters"を筆頭に出だしからサイケ/ガレージが炸裂し、後半にシンセがぬっと漂いながら入って来てさらに浮遊感が倍増。#2 "Come Inside"も森林のサンプリングっぽい音でミステリアスに始まり、熱をキープしながら力の抜き加減が上手く作用している。キメと脱力のバランスが程よく保たれた曲が多い。単にガレージだけではないポップな魅力も持っている。
昨年の「Spaced Out LP」はリバーブたっぷりのギターが印象的だったのに対し、間に7"のリリースを挟み、このアルバムではサイケ成分は控えめになった気も。ザラザラとした質感はより高まり、メロディがリアルに浮き出て来た分シンプルに思える。狙いか自然にかは不明ですが、音に関しては流れにある意味逆らうシフトチェンジで潔い。スブスブとした重めの#4 "Spirit Rebellion Time"もストレートな荒ぶりを見せる。しかしそこにユーモアのあるひねりが散りばめられ、ふるいにかけても目が粗いようで実は細かいのでしっかり残っている。ちょっとセンチメンタルな雰囲気の#3 "Everybody Gets Down"や#7 "So Clean"のまた別のポップさも良い。ラストがなぜかしみじみ終わるのが印象に残る。
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Mammoth Cave Recording : LP/ Digital[released]September 1, 2013
Southpaw Records
bandcamp

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The Ketamines- You Can't Serve Two Masters from Nick Benidt (VJ Bandit) on Vimeo.
 

2013-12-18

The Silver Skeleton Band / Snake Highs

 
バンクーバーのThe Silver Skeleton Bandのニューアルバム「Snake Highs」現在はbandcampで試聴、購入可能になっています。(現地でフィジカルがあるのかは不明)
いきなりヘビーで濃厚なサウンドが迫りまるで鉄の扉をこじ開けるような重量感たっぷりの雰囲気に圧倒される。#2 "Route of Evil"ではおどろおどろしい盛り上がりの間をオルガンの音色がうっすら鳴っていて劇的。内に向かって響き、非常に密室性が高いがその漆黒の中に突如浮上してくるメリハリのついた表現に目が覚める。そしてなによりロックでタフな印象が強い。しかし腰を据えて安定しつつも、じわじわと外堀を埋めていくスリリングで生々しい展開も多く見られる。全体的に曇りがかっているようなエコー効果でサイケデリックに思えるがそことは少し距離を置き、核となっているのは別なのではと感じた。バンド自らタグ付けているのは"jazz"である事も気になる。(ちなみに前作のタイトルはCatscratch Jazz

畳み掛ける様に重厚な曲が続き、一転#5 "Medicine"ではすっと陽が射してくるような開けた雰囲気にうっかり安堵してしまう。どこか冷たい鍵盤の音色はアルバムの至る所に登場していてモノクロ感を増長させている。#8 "Violent Violet"もクラシックながら鳥肌の立つ音の広がり。いわゆる今風に染まる事は無さそうな、堂々としたアルバムでとても好感が持てる。
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bandcamp[released]December 6, 2013

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これは2012年の映像ですが、熱量すごめでカッコいいです

2013-12-16

Dog Day / Fade Out

カナダ、ハリファックスのDog Dayの4枚目となるニューアルバム「Fade Out」現在はSeth SmithとNancy Urichの夫婦デュオでの活動ですが、最近のライブではサポートに同郷のMark Grundy (Quaker Parents)とSeamus Dalton (Monomyth)も加わり4人で演奏していたりする様です。アルバムでもゲストで何人か参加していて、より細かい部分まで創作意欲が盛り込まれて彩りを添えている。しかしおそらく基本的には2人で作ったであろうこのアルバムは前作よりさらにストレートに訴えかけて来る凄みがある。#2 "Wasted"の痛快さも良く、少しシリアスな空気感が増したように思えるのだが多少の「陰」があった方がより深みが出ている。#3 "Joyride"はこのアルバムアートワークのごとく何があるか分からない、奥へ進んでいく様な感覚に。(ちなみにアートワークはSeth Smithのもう一つの顔、YORODEOが手がけてます)オルタナティヴ的な影響を下敷きにしながらもそれとは別に独自のセンスに染まっている。彼ら自身の中にあるものが浮き出て来た感じだ。交互に歌うヴォーカルの暖かみのある柔らかさ然り、曲の至る所で垣間みる事が出来るが特に #6 "Get High"はメロディが儚くてエモーショナル。まだ終わっていないと穏やかに繰り返す#13 "Before Us"はこれまでとは一転、急に切ない気分になってしまう。アルバムタイトルの「Fade Out」というのが一瞬頭をよぎる。気骨あふれるサウンドは最高にカッコいいし、そんな強さはあっても余計な角の取れたような表情豊かなサウンドを夫婦でこつこつ探求し続けている姿勢がすごく素敵だなと思った。
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*fundog : Vinyl/CD/Digital[released]December 10, 2013

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A Preview Of Fade Out from Seth Smith on Vimeo.

2013-12-14

【band】Absolutely Free

Photo: via Absolutely Free bandcamp

カナダはトロントのAbsolutely Freeは元々2011年に解散したDD/MM/YYYYのメンバー5人から1人が抜け、そのまま残った4人が継続する形で始まったバンド。
以前顕著に表れていた混沌とした攻撃性やマスロック的要素はほぼ消え代わりにややスペーシーでサイケデリックな空気をゆるやかに醸し出している。これが元々持っていた素なのか、序々に変化していったのか、もう全く別のバンドで目指す所も異なるのだろう。(抜けたのがメインヴォーカリストという事も大きいのではと勝手に推測)名前を変え、一度バンドを解体した理由はこれだったのかと妙に納得した。
しかし強みは同じメンバーでの活動期間が8年近くと長かった事もありバンドの団結力、音のレイヤーの重ね方は抜群。元々持っていたエクスペリメンタルな部分が別の方向に昇華しつつある感じ。 かと言って決して頭でっかちにならずに感情を素直にぶつけるようなダイナミックさも魅力。

2012年にUFO / Glass Tassle 12"をリリース。

 

セッション映像が圧巻。この壁紙が森な部屋はバンドのリハーサルスペースらしいです。インタビューなのにシンセを膝の上に乗せて喋ってる部分も和みます。

 

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2013年10月には別の12"シングルをLefse Recordsからリリース。


最近のライブ映像もかなり良いです。これは新曲なんでしょうか。

 
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さらに最近12月上旬から一週間、Twitterなどでレコーディングの写真が続々と投稿されており、これが何なのか非常に注目です。

2013-12-10

Freelove Fenner / Do Not Affect A Breezy Manner

モントリオールのトリオ、Freelove FennerのLPでは初となる「Do Not Affect A Breezy Manner」はFixture Recordsからバンド3作目となるリリース。レコーディングは今回も彼らのスタジオThe Bottle Gardenとの事。(おそらく毎回)
18曲の中で次から次へと途切れる事なく印象が変化していき、その都度気持ちまで切り替るのがなんだか新鮮に思えた。しかしアルバムの一体感はしっかりあって、一貫として耳に自然に馴染んでいくミニマルなリズム感と有機的なギターの揺らぎとの対比がシンプルかつユニーク。そこに時に暖かく、時にクールさを纏った豊かなヴォーカルが加わるとさらに立体的な魅力を生み出す。柔軟な旋律にソリッドな質感が映える#1 "In The Sound"を始め、メインの歌い手が変わり掛け合いも素敵な#6 "Dr. D"、躍動感のあるギターサウンドが自由に発揮されている#12 "Mary"、#14 "Girls From Hampton"はゆったりとした移ろいが美しい。各曲それぞれの中に思わずハッとする様なメロディ、アイデアが万華鏡のように違う景色を見せてくれるようだ。よく聴いているとそれこそ一音単位でもエレガントさを感じるようだ。
昨年の「Pineapple Hair E.P.」浮遊感とはまた少し違い今回はタイトでシャープな一面が際立っているようで3人の小粋なアンサンブル感が出ているのではとも思った。
奥が深い洗練されたポップ。本当に必要なものだけが浮き彫りになっている居心地の良さ。
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Fixture Records[released]November 19, 2013

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#1 "In The Sound"のビデオも素敵です

2013-12-05

Alfred Beach Sandal / Dead Montano


ソロ/バンド編成で活動する東京のAlfred Beach Sandalのニューアルバム「Dead Montano」
モンドポップスと称される事が多いのかもしれないが、多彩なリズムが飛び交い、ポップで細やかなイメージがそのまま展開されている。1つのジャンルに固執しない自由奔放なサウンド。昨年のカセットに収録されていた#6 "Night Bazaar(Album version)"として再び登場して存在感を増している。
歌詞は何かの比喩だけでも無さそうだし現実的すぎる訳でも無く、日常からふっと一瞬離れられるような西洋的なエッセンスを感じるストーリーが聴いて居る側の想像力まで掻き立てる。でも(当たり前の事かもしれないが)全く別世界という感じがしないのは、柔らかい日本語のニュアンスが持つ効果なのかもしれない。それらが身近で自然に溢れ出て来る心地良さ。そして聴いていて一貫として印象に強く残るのはなんと言っても歌声の引力だ。これがあるからこそロマンチックな歌詞がすんなり馴染むのだろう。サウンドと絶妙に重なった時の心躍る感じがとても魅力的。#3 "仕立屋"のうねるアンサンブルとの組み合わせもユニークだったり、伸びやかなメロディが感傷的になる#9 "Coke, Summertime"も引き込まれる。何気ない毎日のどこかに潜んでいるキラッとする瞬間が詰まったようなアルバム。オフィシャルのページにも書いてあるように、アルバムタイトルのDead Montanoは壊れたモンタノギター、死火山の意味を含めていると知って感覚的にすごく腑に落ちる。エキゾチックな事や物に憧れや思いを馳せる感じに似ていると思った。
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*ABS Broadcasting : CD[released]December 4, 2013 
 
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2013-12-01

Islands / Ski Mask

Islandsが今年9月にリリースしたニューアルバム「Ski Mask」
我が道をゆくと言った感じにリリースし続けていて2006年から通算5枚目。まず目に入るのはギョッとせざるを得ないアルバムのジャケット写真。どんな突拍子もない内容かと思いきや真逆。サウンドは非常に繊細でひたむきさすら感じる。#1 "Wave Forms"は穏やかなメロディーにシンセサイザーの音が背後で行き場を失うようにちらついている所はまるでThe Unicorns時代を彷彿させる。攻撃的では無く、華やかさから一歩引いて見ているような内省的な曲が多め。しかし毎回色々な試みを少しずつ取り入れている印象があり、その傾向を更新しながらもより焦点が絞れている。(原点回帰というのもあるのでしょうか)#6 "Hushed Tones"などは外に向かって広がる大らかな表現が漂流もしくはさすらい、みたいな言葉が似合う。そう思うとIslandsというバンド名が今更しっくりくる気もする。アコースティックからバンドサウンドへ変わる様がじわじわと熱を帯びる#10 "We'll Do It So You Don't Have To" も聴きどころ。意外性は無いかもしれないが、まさにスキーマスクの下に隠されているような彼らが持つユニークさやひねくれ的な感覚が未だ消えずに残っているのが頼もしい。
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*Manqué Music : LP/CD/Digital[released]September 17, 2013 
 
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メンバーも出演、ドキュメンタリー的な?#1 "Wave Forms"のオフィシャルビデオ。
   

KEXPのセッション映像から(#10 "We'll Do It So You Don't Have To")