一昨年の1月14日、肺炎の合併症により42歳という若さで亡くなってしまったBroadcastのTrish Keenan。以前からメンバーが序々に減っていっており、最終的にほぼデュオ状態で活動していたバンドはそれによって現在James Cargillただ1人だけ。しかし彼は活動を続ける事を選択。今年1月にリリースされたこのアルバムはイギリスのPeter Strickland監督の映画「Berberian Sound Studio」のサウンドトラック。ホラー映画である事や、その雰囲気によるものもあると思うが、何かが起こりそうなダークで不穏、どこか閉鎖的な空気が漂う。突如映画本編の声も入る事によって緊張感が増す。しかし断片的な中にも元々持ってるセンスの良さや音へのこだわり、エクスペリメンタルさが程よく主張されている。世界観がしっかり映し出されてる印象も受けるので、もしかしたら映画を観てから聴くべきなのかもしれないとも思った。Under the Radarのインタビューによると、そもそもこの作品はTrishと共に生前に手がけ始めたものらしいので、よってBroadcastの作品と言えるのだろう。彼女の声なのだろうか。ただ、途中に後ろでほのかに響いている声がなおさら遠く聴こえて美しく切ない。やはりどうしても一番大きい要素ともいえるヴォーカルを失ってもう以前の様には絶対に成り得ないという考えが頭をよぎるが、それでも続けて完成させるのは(これは勝手な想像だけど)相当な葛藤や決心が要ると思う。
先ほど挙げたインタビューでJamesが言っている、彼女が生前残した沢山のテープと4曲はこのサウンドトラックとは別なんでしょうか?今回だけでは今後どうなっていくのかまでは分からないが、解散せずに活動を続けて作品を出しているという事が嬉しい。次のアルバムがあるとすれば、もっとBroadcast自身に焦点を合わせた作品になるのではと想像してしまう。
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* Warp Records : CD/LP/ Digital [released] January 7, (N. America 8,) 2013
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映画のオフィシャルのトレーラー。映画の空気感が垣間見えます。
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