2013-03-31

Heaven For Real / WANTON


カナダはハリファックスのHeaven For Realが3月にbandcampで公開、リリースしたデビュー音源「WANTON」
そもそもHeaven For RealとはQuaker ParentsのScott Grundy、Mark Grundyの兄弟にNathan Doucet(ドラム担当)を加えたトリオ。まだ結成が2012年という事もありそこまで情報が多く無いのですが、地元ハリファックスの記事(via: The Coast)にバンドの事が詳しく載っています。冗談を交えつつからも分かる様にそこまでがっちり気合いの入ったというよりのびのび楽しんでいる感じなのだろうか。それが曲からも伝わって来る。とは言えフレッシュなポップさはこの4曲ですでに片鱗が出始めているのでは
自らジャンルを"Baby Jazz, secret pop" とタグ付けし、主に曲を書いているのはやはりGrundy兄弟なのだろう。どちらかといえば緩急のメリハリが前面に出たガレージポップ/ロックだっQuaker Parentsの時よりクリアですっきりとしていて、ポップな印象寄りに。結果ハーモニーの暖かみも幾分か増している#1 "Love Solo"はメロウなギターサウンドが響き、#3 "Bobby"は浮遊感が漂若干ミニマルな雰囲気変わって#2 "Owner"では少しのエクスペリメンタルさも垣間見え、#4 "Want On"は(持ち味の)曲調変化しつつヒートアップするやはり目指すのは単にポップだけじゃないのだろう。程良くリラックスしていそうなのによく聴くと表現もキメ細やかでブレていない—————————————————————————————————————————

bandcamp (Digital) : [released] March 14,  2013

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2013-03-28

Alex Calder / Time

カナダ、エドモントン出身で現在はモントリオールに拠点を移し活動するシンガーソングライターAlex CalderCaptured TracksからEP「Time」をリリース。レーベル名と音を聴いて思わず納得するのが、彼はMac DemarcoとMakeout Videotapeというバンドで2008年〜11年頃まで活動。(セッション映像)さらにMac Demarcoの"Only You"のビデオに女装して登場していたり等々かなり縁は深い。現在の活動拠点がモントリオールで同じという事もあり、もしこのまま別々の道に進まず一緒のバンドに居たらどうなってたんだろうと想像してしまいます。
でもやはりそれだけで括ってしまうのはもったいないし、どうしても比較してしまいますが7曲のEPだけでも存分に魅力的で個性を放っているのでは思う。メロディはゆるやかで#1 "Suki and Me"から耳が釘づけになる。ずぶずぶとした音の揺らぎや重なりが常に際立っていて、ふとした瞬間が混沌として飲まれそうになる。#5 "Captivate"などは気が付くと完全に周りまで巻き込まれているようなざらつき感。ほんの少し内省的な印象のヴォーカルも相まって歪みながら共に変化していく音も聴きごたえ満点
しかし対照的にベース/ドラムのリズムは直線的でくっきりとしているので、変にゆるくなりすぎずにポップな軽やかさを保っている。背後に流れる豊かなベースラインもさり気ない。特に#2 "Light Leave Your Eyes"はポップさとが絶妙にマッチしている。もし彼が次に出すのがフルアルバムだとしたらまだ23歳という若さと今後どんな感じになっていくのかが非常に楽しみであるし、始めに挙げたエピソードのインパクトが多少かすんで今以上に磨きがかかっていくのではと思った。
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Captured Tracks : CD/LP[released] March 19,  2013

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2013-03-25

Watermelon / Cassette

バンクーバーで活動するトリオWatermelonGreen Burrito Recordsからリリースした7曲入りのカセット、その名も「Cassette」(デジタルはbandcampから) 
程よくノイジーなギターサウンドが全編に一貫として流れていて聴いていると一瞬で心地よい倦怠感に包まれます。ドリーミィという言葉がぴったりですが、そんな雰囲気に浸っていると微熱でもあるんじゃないかと思えてくる麻痺する感覚がクセになります。全体の雰囲気までおぼろげにさせるヴォーカルもメンバーが女子2人に男子1人だからか、ハーモニーもひときわ柔らかい印象になっている。軽やかな曲調の#2 "HELL MOUTH"も淡々とした爽やかさ。ガツガツする事なく至って平熱系なポップなのかと思いきや、実は内部は静かに熱さがにじみ出て曲の合間に浮き出ている。
#6 "HOLY WATER"で感じる様な、近頃はリヴァーブたっぷりで揺らめきのあるメロディとポップさが魅力なバンドが(特に)カナダでも多く活躍していますがそんな所とも共振しつつ、彼らの場合この「じわじわ感」が他とはまた少し違った個性を発揮しているのでは。例えるなら、まるで夜寝る時に瞼の裏に残像が出てきてなかなか消えない様な感じ。
#5 "KILL TWO BIRDS"のメロディも抜群に儚い。そこからヒートアップして溶け出す感情がうねりを伴っているのも良いし、#7 "HATCHET"の最後はギターの音色が耳の遠くで響きながら消えていく。
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Green Burrito Records : Cassette / Digital[released] March 8,  2013

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2013-03-20

YELLOWTEETH / Gets in Car

カナダはサックビルで活動する4人組のパンクバンドYELLOWTEETH。昨年にリリースされたEP「Gets in Car 」 ごりごりとした骨太なサウンドにギターの音はヘビィながらも流れる様に滑らかな#2 "Temporary Father"。ヴォーカルのメロディはメロディックさを失わず、かつエモーショナルだ。 サイケデリックと言ってもそれは単純にサウンドのタイプでは無くスピリットとも言えそうなインスト曲の# 4 "Psychedelic Rock"もキレの良いリズムを叩き出し、体に重圧がかかる様なノイズの渦に巻き込まれる感じ圧巻。
確かに曲の潔さに関してはパンクバンドかもしれないのだが、聴いているうちに多種多様な要素が混ざりながら全部こちらへ向かって来る様な迫力。それがサウンドをさらに予測不可能にしていて幅が広がっている。彼らのバイオグラフィを見てみると好んで聴く音楽が80年代のドローン、クラウトロックや日本のメタル(!)さらにノイズポップ、60年代のヴォーカルクループと、様々な所から来ている様でとても腑に落ちる。一つの型やスタイルに捕われないタイプなのかなと思った。EPながらずっしりとした内容で最後の#5 "The Very Worst"で高揚感たっぷりに締めくくるのも好感。彼らのfacebookによると、フルアルバムのレコーディングを開始したとあるのが気になる所。
レーベルのKiller Haze Recordsから出しているコンピレーションRat KingRat King IIにもこのEP以外の曲が収録されています。(この周辺の濃いバンドの音源が大集合していそうな充実さ。)ちなみにベースのEvan Matthewsは同レーベルThe Mouthbreathersのメンバーでもあります。こちらはもっとポップ寄りで雰囲気で要チェック。
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Killer Haze Records : Digital[released] April 5,  2012

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2013-03-11

Suuns / Images Du Futur

モントリオールの4人組、Suunsの今月にリリースされた2ndアルバム「Images Du Futur」2010年のデビューフルアルバム「Zeroes QC」、2011年のシングル「Bambi" b/w "Red Song」に引き続きSecretly Canadianから。
始めに公開された#5 "Edie's Dream"はドリーミーかつスロウな音の揺らめきが綺麗で、もやのかかった様な浮遊感。この雰囲気は形は違えどアルバム全編に渡って感じ取れる。もう一先に公開されていた#2 "2020"はアルバムの中でも特に異質。感覚まで麻痺してくる音が響きどこか機械的不穏な空気が流れている内側に向けて発する様な繊細なヴォーカルが以前からSuunsの大きな特徴だったが、サウンドの中で前面に出たり背後にスッと溶け込んだりを繰り返す。かと思ったら前触れも無くいきなり何かを発散させる人間味みのある部分ダークなリズム感が醸し出すある種の冷静さが絶妙に同居しているのがとても興味深い。
どの曲も緻密で様々な変化を伴って表現されているので単純では無いし、聴く側やその時の状態で印象が変わりそうな気もするインパクトは鮮明なのに肝心の感情が読めない感じだ。まさに顔をコラージュしたアルバムのアートワークの様に。でも決してダークな要素だけでは無いと思う
#9やアルバムタイトルにもなっている"Images Du Futur"はフランス語の直訳で"未来の写真"という意味もあり「将来」というモチーフは何か意味があるのだろうか。将来には希望や明るい気持ちを持ちたいけど不安も常に付いて来る…という事も頭に浮かんだ。なんだか曲名も意味深に思えて来るラストの#10 "Music Won't Save You"も直線的なリズムとそれに反するギターの揺らぐ音は生暖かく、大人数の笑う声や歓声がサンプリングされていてシュールさが際立っていると共にユーモアだとも取れる。
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Secretly Canadian : CD/LP[released] March 5,  2013 

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2013-03-09

The Cable-knits / Whipping Boys EP

昨年ブログに書きましたがThe Cable-knitsはカナダ、カルガリーで活動するギターとドラムのデュオ。(ちなみにどちらもヴォーカルを取る。)2012年リリースの「Twins」もインパクト大の充実作でしたが、最新作「Whipping Boys EP」は全6曲11分ほどの作品にも関わらず、溢れんばかりのポップさ、アイデアがぎっしりこれでもかと詰め込まれているので一瞬たりとも聴き逃せない。EPと銘打っているのもあるのだろうが、ものすごい勢いで展開されていくガレージポップな流れが爽快。前作のひりひりとしたざらつき感はやや減少したように感じるが、その代わりにサウンドのフレンドリーな面が一層強くなった印象を受ける。ヴォーカルもエモーショナルだし、またそれに乗っかる様に突如ふっと浮き出てくるメロディーの美しさにも耳を奪われる。
元々Stalwart SonsとHunter-Gathererという別のバンドでそれぞれ活動していますが、息ぴったりのコンビネーションが相変わらず抜群に良い。2つの個性がぶつかり合う事なく見事に融合している。バンドとして最小限ながら(だからか)それを最大に生かしたサウンドの全力感がかっこいい。特に#3 "256 Greys"の変化しながらヒートアップしていく一体感がタイトで豪快。 以前ラジオのライブバージョンとしてbandcampで公開だけされていた曲も収録されており、のひのびとした掛け合いが楽しい#1 "Bed Sores"とユニークめなセンスの#2 "Tarot Card Future-Tell"も聴いていてわくわくする。
そして今回もデジタル音源が彼らの唯一のオフィシャルページでもあるbandcampで公開、フリーダウンロードできるという太っ腹っぷり。素敵です。
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bandcamp : Digital[released] March 8,  2013 

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2013-03-05

Unknown Mortal Orchestra / II

先月のHostess Club Weekenderでの来日ライブも記憶に新しいポートランドのトリオUnknown Mortal Orchestraのセカンドアルバム「II」。
2月にリリースになった今作はレーベルが変わりJagjaguwarから。前作の雰囲気とはやや異なるのでびっくりした人も少なからず居るのではないだろうか。1stはどちらかと言うとノリが重視されて次々に進んでいく感じ(ジャカジャカした)の物だったとすれば、今回はより滑らかに落ち着いている。ゆっくりと浸透してから時間差で効果が出て来る様なサイケデリックさが聴いていくうちにどんどん深みにハマります。印象としてはシンプルになったと思うかもしれないがその分メロディや歌に伸びが出て存在感が増している。そして逆にファンキーさはもっとくっきり浮き出て来て#4 "One at a Time"は痺れるギターと共に攻撃性を帯びたベースとドラムが炸裂している。そんな中ふっと思い出した様に突然飛び出してくる#2 "Swim and Sleep (Like a Shark)"はひたすら目立っていて少し哀愁のあるメロディが一層沁みる。緊張感とは違うが、どこか瞑想する様な感覚に近いのかもと思う
1枚目と2枚目の間にドラマーがメンバー交代してるのも少なからず質感が若干異なっているポイントかなとも思える。 というのもHostess Club Weekenderでのライブの際はアルバム発売前だったのもあってかほぼ前作の曲メインで(新譜からは2曲)演奏していたが、想像以上にダイナミックで空間を取り込む感じが圧巻。音源で聴いている時に感じるギターの味があってもくもくとこもった音色はライブでも健在だったのがすごく良かった。今度はぜひ新譜の曲も沢山聴いてみたいと思ったし、フェスのボリュームながらとても充実したライブだった。
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Jagjaguwar : CD/LP[released] February 5,  2013

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シュールな#2 "Swim and Sleep (Like a Shark)"のビデオ(閲覧注意ぎりぎりか?)