フランスはナント出身のトリオ、Papier Tigreの昨年リリースした3枚目のフルアルバム「Recreation」以降の新作「Papier Tigre 7"」リリースは毎回おなじみイタリアのAfricantapeとアメリカのSick Room Recordsから。レコーディング的には昨年11月らしいのにA面、B面ともさらに曲の作り的には複雑になっている印象を受け、昨年のアルバムでも見られたメロディー強化と重めノイジーな流れ。そして詰め込んでいるのに軽やか。確かにポストハードコア要素もまだしっかり兼ね備えていますが、それはもうあくまで不穏でダークな空気感だけになっている感じだ。メンバーも変わらず活動し続けているだけあって、バンドの結束力みたいなのが音にも表れていそうなシャープでタイトなサウンド。ただ勢いやテクニックを引けらかすだけでもなく、変に何か別の要素を大胆に用いて路線変更する訳でもなく、ひたむきに自分達の音楽と突き詰めている様なストイックさも垣間見える。
軽やかだと先に書きましたが、彼らの一番カッコいい所はじりじりした緊張感とそれを貯めた後の瞬発力だと思う。(これはトリオでベースレスに多い特徴なのだろうか)世界中をツアーで回っているみたいですが、日本にもまたふらっと来て欲しいですね。
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*Africantape / Sick Room Records : 7"[released]April 1, 2013
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これとは関係ないですがライブ映像がカッコいい。以前のアルバムからの2曲。
2013-04-28
2013-04-27
Ghostkeeper / Horse Chief! War Thief!
カルガリーのバンド、Ghostkeeperのニューアルバム「Horse Chief! War Thief!」レーベルはSaved By Vinyl。セルフタイトルの前作が2010年(Flemish Eyeから)だったので少し間が空いている。しかしそんな空白を飄々とかわして今年3月にリリースされた新作は核となっているShane GhostkeeperとSarah Houleの2人のヴォーカルが相変わらずソウルフルでかっこ良く、始めに公開されていた#4 "Luella"も然りで伸びやかで肩の力を抜きつつもパンチの効いているサウンド。と基本的な方向性は変わっていないのだろうなという印象ですが前作でおぼろげにチラつき初めていたユニークさが今作で全開になっている。さらに背後で存在感を炸裂させているアレンジによって深みが加わる。心のどこかに引っかかるサイケデリックなベールに包まれている感じだ。
#3 "Walking a Hundred"のドリーミーで繊細なメロディに不安感を煽る様な混沌とした展開を平然と合わせてしまう所も凄みがある。 そして新たな一面が出て来た#9 "Gospel Slinger"などエクスペリメンタルな要素が増してるので聴く人によってはこれを奇妙でとっつきにくい思うかもしれない。でもこれがもし、もっとシンプルでただの良いメロディ/ハーモニーだけになったとしたら面白くなかったのでは。それよりこのアルバムはある種のぎょっとするスリルがあって数倍魅力的だと思う。リズム感も今作の方がマッチしているし、ポップとミステリアスの間をゆらゆらと行き来する12曲。それに一段とバンド名がしっくり来る。
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*Saved By Vinyl : CD[released]March 19, 2013
*bandcamp : Digital
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#4 "Luella"のビデオ
#3 "Walking a Hundred"のドリーミーで繊細なメロディに不安感を煽る様な混沌とした展開を平然と合わせてしまう所も凄みがある。 そして新たな一面が出て来た#9 "Gospel Slinger"などエクスペリメンタルな要素が増してるので聴く人によってはこれを奇妙でとっつきにくい思うかもしれない。でもこれがもし、もっとシンプルでただの良いメロディ/ハーモニーだけになったとしたら面白くなかったのでは。それよりこのアルバムはある種のぎょっとするスリルがあって数倍魅力的だと思う。リズム感も今作の方がマッチしているし、ポップとミステリアスの間をゆらゆらと行き来する12曲。それに一段とバンド名がしっくり来る。
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*Saved By Vinyl : CD[released]March 19, 2013
*bandcamp : Digital
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#4 "Luella"のビデオ
2013-04-25
Johnny de Courcy / Johnny de Courcy and the Death Rangers
カナダ、バンクーバーのJohnny de Courcyが昨年11月にリリースしたアルバム「Johnny de Courcy and the Death Rangers」元々同じくバンクーバーのメタルロックバンド、Black Wizardのギタリストが始めたバンドとして知られている。
という前情報を聞くとさぞかしハードなのかと(勝手に)思っていたら#1 "Panoramic View"からほっこりとしたメロディーラインがすっと馴染み、良い意味で予想外でびっくりする。#2 "Waltz #3//Sunrise"は曲名の通りワルツ調でひっそりと始まり、後半で一気に加速するロックナンバーがカッコいい。各曲明確かつ芯がしっかりしているためか安定感抜群なサウンドでメロディはとにかく清々しく痛快だ。あっと言う間に過ぎ去る様に演奏される#7 "Andrea's Song"のあっさり感も潔い。この曲を皮切りにアルバム後半は少し質感が変わって憂いを含みつつ、緩やかにうねりながらじっくりと展開されていく曲が多くなる。 強弱の変化の仕方といい重過ぎず、軽過ぎずのバランスが絶妙だ。まるで様々なロックのエッセンスを巧く吸収し、自らのバネとして軽やかに表現しているかのよう。特にエネルギーを発散する時のパワフルさが圧巻で#11 "Cherry Lane"にもそれが言える。アルバムの始めから終わりまで熱を失う事無くメロデック/エモーショナルさを貫いているのでは。ラストの#12 "Gone Insane"のギターパートも聴きどころ。
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*bandcamp : CD/Digital[released]November 22, 2012
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びっくり展開な#11 "Cherry Lane"のミュージックビデオ。
2013-04-21
Dirty Beaches / Water Park OST
ちなみにEvan Prosofsky監督は最近の作品ではGrimes "Oblivion"のビデオ などを手がけている。「WATERPARK」はアルバムのアートワーク写真も物語っている様に対象となっているのは実在するウエスト・エドモントン・モールのウォーターパーク。(北米最大の室内プールらしいです) 以前indiegogoで出資者を募っていたページにも説明されており監督曰く、"audio/visual exploration of West Edmonton Mall"との事。予告編的な映像を見る限り視覚と聴覚の絶妙なコラボレーションと言った感じなんでしょうか。
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*'a' Records : 10"
*bandcamp : Digital[released]February 18, 2013
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オフィシャルトレーラーも素敵。
WATERPARK Official Trailer from Evan Prosofsky on Vimeo.
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映像と音楽を合わせて公開した時の様子なんでしょうか、(実際に体感してみたいですね!)両者の話も少しだけ出て来ます。
Dirty Beaches vs. Evan Prosofsky 'Waterpark' at CPH:DOX from CPH:DOX on Vimeo.
2013-04-08
シャムキャッツ / We were dinosaur in 2013
シャムキャッツ(/siamese cats)のライブ会場限定で今年2月末から発売しているスタジオライブ盤、「We were dinosaur in 2013」
タイトルの通りこれは今年バージョンであり、昨年は「We were dinosaur in 2012」がありましたが現在では売っていない模様。前作も18曲とボリューミーな内容でしたが、今回も16曲。個人的にシャムキャッツは音源で聴いてた時と実際にライブを観た時とでは良い意味でギャップがあった。今回はカバー曲も3曲収録されており#6 昆虫キッズの"恋人たち"、 #10 Pavementの"Cut Your Hair"、#14 王舟の"THAILAND"とあって興味深く聴き所でもあるのだが、特にびっくりしたと同時に新鮮に思えたのが#7 "海を見に行こう (midnight ver.)"。この曲は元々2011年のシングル「サマー・ハイ」にカップリング曲のニューバージョン。聴き比べると同じ曲とは思えないほどにかなりリメイクされて生まれ変わっている。以前は直球で少し脱力系なロックサウンドだったのに対し、リヴァーブの心地良さとざくざくとしたタイトなリズムが印象的。2本のギターの絡みも抜群でまろやかに響く。先日この新しいバージョンをライブで聴く事が出来て(この音源と同じ様な感じだったと思う)実際に聴いてもこの辺は2ndアルバム以降の彼らの新しい一面なのかもという気がした。#3 "Punch From Far"は現在では入手が難しい初期音源からというのも貴重。 もちろん最新アルバム「たからじま」や「GUM」からの音源からも存分に楽しめて新旧が交差している様がリアルに感じ取れる充実のライブ盤。2年連続出ているのもあり、来年バージョンも密かに期待してしまうところだ。
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*Studio Live Album : CD[released] February 27, 2013
(※ライブ会場限定)
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