2014-02-10

【feature】Chad VanGaalen

photo via : Sub Pop

2000年初頭から現在に至るまで活動し続けるカルガリーのChad VanGaalenの通算5枚目となるニューアルバム「Shrink Dust」が4/29にリリース。アルバムが待ち遠しいのはひとまず置いといて、今回はSSW、アニメーター/イラストレーター、はてまたプロデューサーとマルチな彼の活動(主に音楽の方)を振り返ってみたいと思います。ライブはバンド編成が多いですが基本的に全部自分でこなしているからこそ生み出されるのではと思うほど、独創的な世界観は作品を出すごとに濃厚かつ広くなっていきます。思わずぎょっとするようなインパクト、恐ろしいんだけどついつい見てしまう。アルバムジャケットとビデオに関しては必ず自作を貫いているのも凄い所。プライベートでは二児の父親でもあります。

Infiniheart - 2004
ベッドルームのスタジオで録音されたというデビューアルバム。2004年、初めはカナダのレーベルFlemish Eyeからリリースされ、一年後にSub Popからのリリースとなった作品。まだ今と比べるとシンプルながらも有機的な音の表現の細かさや多彩性は当時からしてもずば抜けていたのでは。一方で自由でのびのびとした空気が流れているのも魅力。リリース自体は2004年ですが音楽活動は90年代からしているようなので、それまでの集大成的な意味もありそうだ。



Skelliconnection - 2006
前作の延長でほっこりハーモニカの音色が沁みるような曲もあれば、鋭角な攻撃性も垣間見えるようになった2作目。ヴォーカルもより鮮明になった印象だ。突然どたばたする実験的な展開にもっていかれるので油断できません。特筆すべきはなんと言っても2007年の Polaris Music Prize(カナダの音楽賞)にノミネートされたという事。ちなみにこのアルバムと次のアルバムはその年の10枚を選んだショートリストに入っています。



Soft Airplane - 2008
本国カナダはもちろん、特に国外の様々な所からの注目度がぐっと上がったのは3作目とも取れる。そんな事を知ってか知らずかますます混沌とした音世界が広がり、ひっそりとしかし確実にインパクトを残す哀愁感、どこかもの悲しげな歌声が印象的でこの作品で特に色濃く出ている。夜中に聴き始めるとするりと心の隙に入り込んでくるような中毒性もあり。アルバムに収録されている"Rabid Bits Of Time"という曲は映画「Norman」に使われました。



Diaper Island - 2011
4枚目となったアルバムは彼の自宅の新しいスタジオ、その名もYoko Eno(名前がとにかく気になります)で収録されたもの。突飛さがかなり薄れ、一貫としてどっしりと輪をかけ広がるように繰り広げられるサイケデリックな雰囲気に飲まれる。ある種の統一感が他のアルバムからすると珍しいのでは。キャリア的にもかなりの経験を積んでいるからこそ出せる円熟したサウンドが光る。メロディの美しさにも改めて注目したい。




Shrink Dust - 2014 (4/29)
そして約3年ぶりとなる5枚目。先行して新曲"Where Are You?"が公開されています。


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【他リリース作品】
その他過去に出したEPは全部で4枚ですが、その中でも2011年の「Your Tan Looks Supernatural」は収入のすべてが赤十字に寄付され日本の震災へ支援に使われるといったもの。すぐに支援を行動にしてくれたのも印象深かった。

一体未発表な曲はどのくらいあるんだろうか。過去5年分貯めた音源をカセットで一気にどーんとリリース、全8本。Chad VanGaalen: Cassette Tape Series 

時期的に大きくアナウンスされなかったような気もする2012年にリリースされたXiu Xiuとのスプリット12"、「Chad VanGaalen / Xiu Xiu - The Green Corridor #02」も聞き逃せない。


【別プロジェクト】
忘れてはいけないのがBlack Mold。2011年に唯一アルバム「Snow Blindness is Crystal Antz」を出しており、全編インストでよりエクスペリメンタルなサウンドが炸裂してます。本家で表現しきれない事をこっちにシフトして思う存分制作したような感じ。


【他バンドへのプロデュース】
もはやその界隈では親父/兄貴的な存在なのであろう彼がプロデュースしたバンドで一番知られているのは同郷のWomenだろう。2枚のアルバムのプロデュースはもちろん、解散後メンバーをライブのサポートに迎えたり、故Chris Reimerの後に出されたソロ作その名も「The Chad Tape」にも関わっている。ちなみにChrisのトリビュートアニメ制作にも参加。またCindy Leeのアルバムをプロデュースしたりと縁が深い。
 2011年は同じくカルガリーのExtra Happy Ghost!!!のアルバム「Modern Horses」もプロデュース。お互いファンだったそうですが、確かに共通する空気感を持っている感じだ。レコーディングされたのもChadのスタジオYoko Eno。さり気なく1曲だけ"Feeds Wolves Luck"でコーラスで参加しています。(控えめ過ぎて言われないと気付きません)

そして2014年にリリースされる作品ではトロントのAlvvaysのデビューアルバムをプロデュースしています。(リリースはおそらく上半期)→追記:7月末だそうです。 久々のプロデュース業なのだろうか。

【他バンドへのアニメーション制作】
確認できるのはこの4本、まだあるかも。音楽が違うとまた印象も変わります。
Love as Laughter - Dirty Lives (2006)
J Mascis - Not Enough (2011)
Mother Mother - The Sticks (2012)
METZ - Get Off (2013)

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といった感じにざっくりまとめてしまいましたが、これはあくまで音楽だけの話。最後にライブ映像を挙げて締めたいと思います。こつこつと繰り広げられる不思議なチャドさんワールドに今後も目が離せません。



2 comments:

  1. Forgotten Hall様
    こんばんは

    エレクトロが入ったフォーク・サウンドへ
    徐々にサイケデリックな要素が濃くなっていく様子が伝わりました。
    確かにメロディが美しいのですが、
    最新作はこの曲だけで判断する限り、ぶっ飛んでいそうですね。
    独特の味わいがあるアニメーションも良かったです。

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  2. GAOHEWGII様
    こんばんは、コメントありがとうございます。

    簡単な紹介となってしまいましたが、少しでも伝われば光栄です(笑)
    まだ1曲しか公開されていませんがかなり期待しています〜
    アニメーションでは過激かつユーモア溢れる表現を堂々とやってのけるのも凄い所です。

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