1999年頃から活動するフィラデルフィアのインディーロックバンドDr.Dog
60年代を彷彿とさせる様なベーシックなメロディやハーモニーを土台にして、しっかり伝承しながら独自のセンスでユニークな作品を出し続けている。始めはローファイと位置付けられながらもアルバムを出すごとにそれは消えて代わりにパワフルさとより新たな魅力が増えゆく。でも基本の部分はある一定の所からブレていない。Scott McMickenとToby Leamanの2人の毛色の違うヴォーカルも大きな特徴。(ちなみに2人はDr.Dogの前にはRaccoonというバンドでした。)シングル、スプリット、EPなども沢山ありますが、前からずっと書きたかった、今回3枚目から7枚目までをフルアルバムのみに焦点を絞ってまとめてみます。余談で現在は使われているかは不明ですが、メンバーはそれぞれTから始まる単語にニックネームがありました。
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「Psychedelic Swamp」- 2001
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「Toothbrush」- 2002
始め2枚は飛ばしてしまいますが…デビューアルバムは現在廃盤?「Toothbrush」はまだデジタルでは購入可な様です。
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「Easy Beat」- 2005 / Park the Van
ローファイ感がまだまだ色濃く残る3枚目。しかしメロディ/ハーモニーの良さや曲の構成など現在の骨格はこの頃にほとんど完成されている。他の後期の作品よりシンプルですが、強めのサイケデリックな浮遊感が魅力的です。それに軽くストリングスが入る曲もあったり、色々要素をミックスするセンスはすでに健在。決して派手さは無いのですが何かが引っかかるユニークさが曲の至る所で垣間見れます。
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アルバムの中でもひと際目立つ、#6 "Fools Life"夢に出て来そうなビデオがかなり個性的。
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「We All Belong」- 2007 / Park the Van
注目度が一気に上がったのはこの4枚目のアルバムからかと思われます。ちなみに#1 "Old News"はRolling Stone誌の「 list of the 100 Best Songs of 2007」の40位にランクイン。 それも納得ですが、そういったやや陽が差し始めた様な陽気さと、まだ残っているダークさが完全に混ざらず残っている部分が魅力だと思う。全体に漂うある種の哀愁感が彼らのアルバムの中でも独特な雰囲気。スロウば曲ほどじわりと味があって良い。丁度現在と過去の中間的な作品かと。
※のちにAntiから再発—————————————————————————————————————————
Lettermanにも出演。この頃はまだバンド内髭率が高いです。
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「Fate」- 2008 / Park the Van 、BounDEE
前作から一年と早いのに変化が一番大きかったのは5枚目かもしれない。サウンド面でかなり向上し、元々のハーモニーの美しさがこれでもかと披露されている。TobyとScottの個性の違いがより明確。より伸びやかで煌めきがあって、もはや曇りは見当たらない。この時期の彼らの写真やアルバムを通して聴くと気が付くのだが鉄道がテーマになっているらしく汽車の音が所々に入るのも注目。唯一日本盤にもなった。
※のちにAntiから再発
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でもなぜかビデオはホラー(笑)渋さが良い#6 "The Ark" Dr. Dog "The Ark" from Adam kurland on Vimeo.
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「Shame, Shame」- 2010 / Anti
6枚目。ここからはさらに垢抜けてきている。ドラマーのJuston Stensが抜け、代わりにEric Slickになったのも音が若返るのに一役買ったのかもしれない。前作のレトロ志向のせいか、序盤は前作からの延長の様になのに途中からぐっと「現代」になっている。表現ももっと豊かになり貫禄っぽいものも出始めています。全体的なバランスと安定感は抜群な一枚。 根っこの部分が変えずとも、そこで満足せずにさらに良くし新しいものを取り入れようとする感じが伝わる。
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このビデオからも分かる様に、場合レトロ志向を辞めた訳では無く立ち位置を変えたのてはと思った。彼らの曲の中でも特にメロディが美しい#2 "Shadow People"バンドの見た目の変化にも注目。 Dr. Dog "Shadow People" Music Video from All Ages on Vimeo.
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「Be The Void」- 2012 / Anti
今年リリースの7枚目となる最新作。なんともう一人パーカッションやギターサポートのメンバーのDmitri Manosが加入し、現在6人組となった彼ら。音の方もそれに比例しパワフルかつ少し今までとは異なるユニークさが加わる。それは特にリズムに顕著に表れていて(若干トライバル的な)メインヴォーカル2人との相性もぴったり。ハーモニーを引き立てています。余裕すら感じられる堂々とした雰囲気が心強いです。サウンド的にまた一皮むけ、躍進した充実作。
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#11 "Warrior Man" DIYさが伝わって来るビデオ。このわいわいした感じが良いですね。
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【おまけ】Dr.Dogのライヴはいつかこの目で見たい!!なオススメ映像2点
ステージセットもDIYな感じで凝ってる。ライティングが凄いし圧巻。
おなじみArchitecture in Helsinkiのカバー曲"Heart It Races"のセッション映像
2012-11-25
2012-11-20
【news】Hooded Fang : New Song,Third Album
ブログでもちょいちょい書いてる、トロントのサーフポップ・ロックバンドHooded Fangが来年の春に3枚目のアルバムを出す事が判明。かねてからサイトやツイッターなどでレコーディングしている事はなんとなく分かりましたがついに情報が。このDIYの記事によるとタイトルは「Gravez」今年の2月ではすでに新曲も演奏されてます。よりストレートでパワフルなリズムと彼ららしいメロディが印象的。今から来年が楽しみ。
このライヴはmoshcamのサイトでフル公開されています→Hooded Fang - Cargo, London (9 February 2012)
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3voor12で公開しているアムステルダムでのライヴ映像もすごく良いので必見。25分あって見ごたえ十分。グルービィさ満載。
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2011年の2ndアルバム「Tosta Mista」から"ESP"
Hooded Fang:website
bandcamp
このライヴはmoshcamのサイトでフル公開されています→Hooded Fang - Cargo, London (9 February 2012)
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3voor12で公開しているアムステルダムでのライヴ映像もすごく良いので必見。25分あって見ごたえ十分。グルービィさ満載。
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2011年の2ndアルバム「Tosta Mista」から"ESP"
Hooded Fang:website
bandcamp
2012-11-19
【bandcamp】FUNS / DATE NIGHT AT SLICKS PIZZERIA
FUNSはFreak Heat Wavesのメンバー、さらにかつてMt. RoyalのメンバーでもあったThomas Di Ninnoのソロプロジェクト。(過去に両バンドでスプリットも出している)全4曲のDATE NIGHT AT SLICKS PIZZERIAは2010年にmonoとstereoの2バージョンでアートワークも上下逆。
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現在のFreak Heat Wavesとはまた違った(初期に近い感じもしますが)レトロな渋さが光ってます。ホーンを使用している曲もあり良いアクセント。ツボを押さえつつものびのびとしたファンキーさとも言える様な自由な雰囲気がカッコいい。
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現在のFreak Heat Wavesとはまた違った(初期に近い感じもしますが)レトロな渋さが光ってます。ホーンを使用している曲もあり良いアクセント。ツボを押さえつつものびのびとしたファンキーさとも言える様な自由な雰囲気がカッコいい。
2012-11-18
Slam Dunk / Welcome to Miami
カナダはビクトリアのバンド、Slam Dunk。Fan Club Music Clubから7"をリリースしその後、 昨年2011にフルアルバム「The Shivers」をLPとデジタルでリリース。(現在でもデジタルがbandcampでフリーDL可能。こちらもかなりオススメ)そして今年11月にFile Under: Musicからリリースした2ndアルバム「Welcome to Miami」と確実にステップアップしてる雰囲気が伺える。
とは言えそれは元々の持ち味だろうと思うが、聴いていて笑顔になってしまう思わず良い意味での荒削りな持ち味はそのままにそのダイナミックさが見事に全て心強い魅力になっている。もちろんそれはサウンド面の表現の豊富さ然り、アルバム出だしの#1" #Can't Stand It"などに見られる、以前より前面に出てさらに色気や華やかさが増すサックスの音色然り。ザクザクと躊躇なく切り込んでくる所がとても清々しい。パンク、ガレージ、あるいはほんのりフリージャズ、もしくはスカ的な要素はまんべんなくミックスされ、全部が同時に向かって来る様な凄みと迫力。パワフルでエモーショナルなダブルヴォーカルやダイナミックなドラムも勢い良く冴える。#3 "Da Dunda"の疾走感に至ってはもう文句無しの格好良さ。そういったファンキーな魅力に加え、土台が安定してる頼もしさがあるのではと思う。メロディはしっかりとしてのびやかだし、ふっと良い感じのタイミングで入るコーラスも良し、そして#7 "Runner"のピアノのクラシックな音色はじんわり沁みる。といった感じに勢いだけでない懐の幅の広さがチラチラ。最後の10 "Fantasy"ではラストに相応しい達成感。
レーベルのサイトによると今回プロデューサーはBlack Mountain、Dan Mangan、最近ではA.C. Newmanなど沢山のバンドを手がけるColin Stewart。(前作ではミックスを担当)
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* File Under: Music : LP,CD,Digital[released] November 13, 2012
(※LPは生産が遅れている模様で、11月下旬位との事。11/18日現在)
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Slam Dunk - 02 Dying Breed by File Under Music
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2011年のCFUVのスタジオライヴ映像。この曲も「Welcome to Miami」に収録#8 "Sass" そう思うと曲自体は前から暖めてきてたんでしょうか。にしてもライヴもかなりアツそうです。
Slam Dunk - "Sass" from CFUV 101.9FM on Vimeo.
とは言えそれは元々の持ち味だろうと思うが、聴いていて笑顔になってしまう思わず良い意味での荒削りな持ち味はそのままにそのダイナミックさが見事に全て心強い魅力になっている。もちろんそれはサウンド面の表現の豊富さ然り、アルバム出だしの#1" #Can't Stand It"などに見られる、以前より前面に出てさらに色気や華やかさが増すサックスの音色然り。ザクザクと躊躇なく切り込んでくる所がとても清々しい。パンク、ガレージ、あるいはほんのりフリージャズ、もしくはスカ的な要素はまんべんなくミックスされ、全部が同時に向かって来る様な凄みと迫力。パワフルでエモーショナルなダブルヴォーカルやダイナミックなドラムも勢い良く冴える。#3 "Da Dunda"の疾走感に至ってはもう文句無しの格好良さ。そういったファンキーな魅力に加え、土台が安定してる頼もしさがあるのではと思う。メロディはしっかりとしてのびやかだし、ふっと良い感じのタイミングで入るコーラスも良し、そして#7 "Runner"のピアノのクラシックな音色はじんわり沁みる。といった感じに勢いだけでない懐の幅の広さがチラチラ。最後の10 "Fantasy"ではラストに相応しい達成感。
レーベルのサイトによると今回プロデューサーはBlack Mountain、Dan Mangan、最近ではA.C. Newmanなど沢山のバンドを手がけるColin Stewart。(前作ではミックスを担当)
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* File Under: Music : LP,CD,Digital[released] November 13, 2012
(※LPは生産が遅れている模様で、11月下旬位との事。11/18日現在)
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Slam Dunk - 02 Dying Breed by File Under Music
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2011年のCFUVのスタジオライヴ映像。この曲も「Welcome to Miami」に収録#8 "Sass" そう思うと曲自体は前から暖めてきてたんでしょうか。にしてもライヴもかなりアツそうです。
Slam Dunk - "Sass" from CFUV 101.9FM on Vimeo.
2012-11-11
Cold Pumas / Persistent Malaise
イギリスはブライトンのトリオ、Cold Pumasの「Persistent Malaise」は今年11月にリリースされたバンド初となるフルアルバム。Faux Discx、Gringo Records 、Italian Beach Babesの3つのレーベルからの共同リリース。アルバム前からCold Pumasは過去にスプリットや7"、12"シングルを出してきているので(彼らのbandcampで詳しく見る&試聴可)今回まさに待望のフルでの作品と言える。
2本のギターが織りなすノイジーな掛け合いもポップだし、ややドリーミーめなヴォーカルと直線的で確実なインパクトのドラム。時にノイズパンクとも言える緩急の付け方は鮮やか。ひたすら反復するリズムにメロディが序々に変化していく感じが、どこかクラウトロックの様なじわじわとした迫り方。なので緻密さも持っていている印象。始め#1 "A Versatile Gift"から中盤は巧妙かつ、次々に突き進んでいくキレのあるスマートさが際立っているのに対し、終盤#7 "Rayon Gris"ではゆったりとほんの少しの憂いが見え隠れするメロディの美しさにまどろむ部分もあったりと表現は豊か。そこから再びパンク的にぐっと沸点が上がり最後の#8 "Vanishing Point"は目まぐるしく変化して終わる。各曲の中でも動静といったうねりがあるのは確かだが、アルバム全体になるとさらに長く大きな流れをも作り出すバンドだったんだなと分かるのも初めて発見出来た部分。
バンドメンバーのDan ReevesはFaux Discxのレーベル主宰とThe Soft Wallsという別バンドで活動、さらにレコードのアートワークなども手がけている。他メンバーもTense Men、現在は活動していない模様だがThe Light Sleepersといった感じでそれぞれが幅広い。
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* Faux Discx : CD/LP/Digital[released] November 5, 2012
* Gringo Records : CD/LP/Digital[released] November 5, 2012
* Italian Beach Babes : CD/LP[released] November 5, 2012
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#3 "Sherry Island"のビデオもジャケとリンクしそうな感じ。
2本のギターが織りなすノイジーな掛け合いもポップだし、ややドリーミーめなヴォーカルと直線的で確実なインパクトのドラム。時にノイズパンクとも言える緩急の付け方は鮮やか。ひたすら反復するリズムにメロディが序々に変化していく感じが、どこかクラウトロックの様なじわじわとした迫り方。なので緻密さも持っていている印象。始め#1 "A Versatile Gift"から中盤は巧妙かつ、次々に突き進んでいくキレのあるスマートさが際立っているのに対し、終盤#7 "Rayon Gris"ではゆったりとほんの少しの憂いが見え隠れするメロディの美しさにまどろむ部分もあったりと表現は豊か。そこから再びパンク的にぐっと沸点が上がり最後の#8 "Vanishing Point"は目まぐるしく変化して終わる。各曲の中でも動静といったうねりがあるのは確かだが、アルバム全体になるとさらに長く大きな流れをも作り出すバンドだったんだなと分かるのも初めて発見出来た部分。
バンドメンバーのDan ReevesはFaux Discxのレーベル主宰とThe Soft Wallsという別バンドで活動、さらにレコードのアートワークなども手がけている。他メンバーもTense Men、現在は活動していない模様だがThe Light Sleepersといった感じでそれぞれが幅広い。
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* Faux Discx : CD/LP/Digital[released] November 5, 2012
* Gringo Records : CD/LP/Digital[released] November 5, 2012
* Italian Beach Babes : CD/LP[released] November 5, 2012
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#3 "Sherry Island"のビデオもジャケとリンクしそうな感じ。
2012-11-05
【band】Elephant Stone
Elephant Stoneは2009年にシタール/ベースプレイヤーのRishi Dhirを中心に結成されたモントリオールの4人組バンド。同年2009年のデビューアルバム「The Seven Seas」がカナダのPolaris Music Prizeのロングリストにノミネートされている。その後2010年に「The Glass Box EP」をリリースし、今年に入ってからは「Love the Sinner, Hate the Sin b/w Strangers 」7"をリリース。
自らジャンルを"Psyche-Pop/Hindie-Rock"としている様に、柔らかいヴォーカルにむしろ爽やかで瑞々しいメロディなのに、土台がしっかりサイケ。シタールの音色も王道かつモダンな雰囲気で素敵です。
2011年カナダのフェスOsheagaでのライヴ映像。
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そして来年、2013年2月5日に2枚目のアルバムがカナダのHidden Pony RecordsとThe Reverberation Appreciation Societyからリリースされると発表されています。先行して新曲、"Heavy Moon"も公開。この曲だけ聴くとサイケデリック色が濃くなった感じもしてポップさとのバランスがより巧妙。浮遊感のあるメロディと反復するリズムが心地よく印象的です。アルバム全体では一体どんな感じなのか非常に楽しみ。※FADERの記事
Elephant Stone - Heavy Moon by CrashAvenueMedia
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ちなみにバンドの中心人物Rishi Dhirはシタール演奏者としてBrian Jonestown Massacre、The Horrors、The Black Angelsなどのバンドとレコーディングやツアーに参加していたりとなかなかの多忙&マルチっぷり。The Black Angelsに関しては現在ではメンバー状態。(ベースとシタール担当か)→関連動画
自らジャンルを"Psyche-Pop/Hindie-Rock"としている様に、柔らかいヴォーカルにむしろ爽やかで瑞々しいメロディなのに、土台がしっかりサイケ。シタールの音色も王道かつモダンな雰囲気で素敵です。
2011年カナダのフェスOsheagaでのライヴ映像。
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そして来年、2013年2月5日に2枚目のアルバムがカナダのHidden Pony RecordsとThe Reverberation Appreciation Societyからリリースされると発表されています。先行して新曲、"Heavy Moon"も公開。この曲だけ聴くとサイケデリック色が濃くなった感じもしてポップさとのバランスがより巧妙。浮遊感のあるメロディと反復するリズムが心地よく印象的です。アルバム全体では一体どんな感じなのか非常に楽しみ。※FADERの記事
Elephant Stone - Heavy Moon by CrashAvenueMedia
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ちなみにバンドの中心人物Rishi Dhirはシタール演奏者としてBrian Jonestown Massacre、The Horrors、The Black Angelsなどのバンドとレコーディングやツアーに参加していたりとなかなかの多忙&マルチっぷり。The Black Angelsに関しては現在ではメンバー状態。(ベースとシタール担当か)→関連動画
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