モントリオールを拠点に活動するトリオ、Each Other待望のデビューフルアルバム「Being Elastic」2011年からEPやシングルを出して来た彼ら。以前から独自のセンスと抜群のメロディが際立っていたがその積み重ねが開花したのだろうか、フルアルバムというこれまで以上のボリュームでも予想を見事にひっくり返してくれる自由度の高いユニークな内容となっている。
これほどに音のジャンルを断定しにくいのも珍しく(そんな事しなくても良いが)それは聴く側によって変わり偏見を持たせない。#1 "About the Crowd"のように人懐っこいポップさが常にあるのでシンプルに聴き手に響いてくる。それだけ吸収したものを自分のスタイルに落とし込む表現力に富んだバンドなのだと改めて感じる。もちろん、細かい部分でのこだわりも曲の随所にあるように思う。BradとMikeコンビの息の合ったヴォーカルのハーモニー、2本のギターの掛け合いでは(時にギターでベースラインも兼ねる)身軽でひねりの効いた柔軟なサウンドを展開させている。さらにサウンドをがっちり支えつつ、ユニークな彩りを添えているChristianの叩き出すドラムの躍動感はメロディに沿うようにフィットして明確。そして何より楽しさが伝わって来るのが良い。3人の絶妙な相互作用が最大の強みなのかもしれない。曲によって印象が大分違うがやりたい事を思う存分に詰め込んでいる充実感がある。#9 "Seeing Doubles, Dreaming Troubles"での唐突に吹っ切れて荒ぶるサウンドには潔さを感じるし、#11 "Swell Patterns"はハーモニーの盛り上がりはのびやかでエモーショナル。縦の触れ幅が大きくタイトル通りまさに屈託の無い、自在に弾むサウンド。
音以外で気になるのがアルバムアートワークや#8 "Your Ceiling Is My Floor"のビデオ。今までの小洒落た感じと異なり自らがフューチャーされている思い切ったもの。むしろこっちが自然体というか素なのかもしれないが、ちょっとだけ風変わりな人間味溢れる部分も魅力なのだろう。
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*Lefse Records : CD/LP/Digital [released]March 4, 2014
(*Fat Possum Records)
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