2015-01-20

Viet Cong - s/t

誰もがこのバンドを説明する時に同じ様な感じになってしまうのを承知でもう一度説明したい。カルガリーのViet Congは元WomenのMatt FlegelとMike Wallaceが始めた新しいバンド。というのが一番関心が集められている所であるのは間違いない。でも注目すべきはそれだけでは無くて、Scott Munro(Lab Coast、Chad VangaalenのバンドでMattと共に演奏していた)とDanny Christiansen(Sharp Ends)の4人で活動している事。昔からお互い馴染みがあって全員見事に地元出身。つまり同じ方向性であれば絶対結束力の強いアルバムになると思っていた。
すでに2013年にリリース(2014年に再発)の"Cassette"である程度方向性が現れていたが、今年リリースされたこのデビューフルアルバムでもニュー・ウェーヴ、特にポストパンクやサイケデリックなどの要素が軸となっているのは変わりないが、よりダークにしかし明確な印象で格段に強度を増している。何かのインタビューで本人達も認めていた気がするが、アメリカよりイギリスの音楽に影響を受けていると言うのには納得。なにより堂々と自信に満ちている様に聴こえるし、そして自己満足では無くて確実にこちらに訴えかけて来る気迫が凄い。しかもレーベルは以前と同じJagjaguwarFlemish Eyeである事も胸アツ。

当時2枚目のアルバムを出し人気がどんどん上り始めていた頃にWomenが解散、(せざるを得なくなった)そこから別のバンドで活動したり音楽活動は各自それぞれ続けていた。そして残念な事にメンバーの死もあった。どの時点でこのバンドへシフトしたのかは分からないが、結局は過去の色々な出来事があったからこその今であり、結論なのだろう。そういった所に彼らなりの音楽への変わらない情熱を感じる。 
だからもうWomenと比べるのは野暮な事なのかもしれない。目指す所が違うのだろう。でも名残りのような部分も瞬間的にちらほらあるのは見逃せない。考えたらそれは自然な事だろうけど。特に#3 "March of Progress"のトンネルを進んでいく様なダークさからふっと表れるギターの繊細なハーモニーに一瞬その気配を感じた。が、そこから転調してさらに展開していくのが聴き所。先に公開されていた#4 "Bunker Buster"でも分かるが雄弁で力強いヴォーカルとベースライン、ダイナミックなドラムはバンドの要だろうし、それを支えるギタリスト2人のノイジーかつ鋭いサウンドも絶妙に絡む。この辺のバンドアンサンブルはさすがだ。#6 "Silhouettes"の混沌としたパンクさもカッコいいのがだそこからぐっとメロディックになっていくのも良い。そしてラストの#7 "Death"こそが全ての答えなのでは思えて来る。Mattのヴォーカルがひと際感情的なのがとても印象に残る。暗い影を振り払うかのごとくその後中盤からの怒涛の全力疾走がもはや感動さえ覚えた。周りに媚びらず自らの音楽を追求していく強い姿勢が垣間見えるアルバムだった。本当に素晴らしいと思う。
—————————————————————————————————————————

Jagjaguwar / Flemish Eye : LP/CD[released] January 20, 2015 

 —————————————————————————————————————————




No comments:

Post a Comment