2014-08-16

Spoon - They Want My Soul

テキサス、オースティンのSpoonの4年ぶり通算8枚目のアルバム「They Want My Soul」それぞれ別バンドやソロ、プロデュースなどの活動を挟みつつとはいえ、デビューアルバムが1996年なのでもう18年という間バリバリの現役で活動し続けているという事の凄さ。正直な所、私は6枚目「Ga Ga Ga Ga Ga」で彼らを知ったかなり後追い派なのだがそれ以前の作品を聴いてもどれも興味深い。作品によってアプローチは変えても芯の部分では一定の、変わる事の無い情熱や姿勢を貫いている事が伺える。当然と思うがそれはかなりの創意工夫と積み重ねて来た実積があってこそなんだろうなと感じる。
話は逸れたが今回のアルバムもそんな安定のSpoonらしさを遺憾なく発揮しながらまた違った側面を見せてくれる。メンバーも5人に増え(Divine FitsのライブメンバーだったAlex Fischelが加入と知り納得)細かい表現での幅がさらに広がっているのだろう。そしてレーベルもLoma Vistaに移籍している。#1 "Rent I Pay"では頭にズンと響くようなギターサウンドの存在感。一転#2 "Inside Out"ドリーミーなニュアンスで一瞬違う次元に引っ張られたような不思議な感じがする。この現象は今回のアルバムの随所に見られる特徴かもしれない。ダイナミックでクラシカルな部分とスマートで近代的な部分とを故意に行ったり来たりしている。違和感が無くスムーズだ。#4 "Do You"はそれが丁度混じった中間地点の様な印象。もちろん#3 "Rainy Taxi"でのエモーショナルな熱を放つ曲も良い。魅力の一つでもあるのが楽曲自体はキャッチーで親しみやすいのにやや斜めから切り込んでいる様な歌詞。タイトルからも分かる様に#8 "They Want My Soul" もまた然りだ。不満をユーモアに変えるようなタフさ、ひねくれているようでもなぜか時に非常に正直でシンプルに感じる。聴き手(もしくは彼ら自身かもしれない)を毎回飽きさせる事なく、自分達がやりたいと思う事を堂々と自信を持って表現しているのがひしひしと伝わって来る。
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Loma Vista : LP/CD [released]August 5, 2014 
MAGNIPH(日本盤) : CD[released]August 6, 2014
 
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余談ですが7月にKEXPで行われたセッション映像。新作からだけで無く過去作からも多く演奏しているのに注目。2nd収録のMetal Detektor(98年)もさりげなく。ちなみに来日は過去2度だけで日本でもまたライブが観たいと切望しますよね。

2014-08-15

Actual Water - Call 4 Fun

カナダ、トロントのActual Waterのニューアルバム「Call 4 Fun」
ジャカジャカとかき鳴らすギターに思わず心が踊る。そんなストレートである意味では古典的なポップ/ロックなサウンドが魅力。若さ溢れるガツンと勢いのあるインパクトなので若いバンドと思いきや、2008年頃から活動しておりキャリアは意外と長め。過去音源は現在でもbandcampで聴く事が出来る。今年7月からリリースされたニューアルバムもこの手のサウンドが好きな人にとっては正にツボを押さえまくっている。#1 "Take the Stairs"から余計な小細工をせず真っ正面から勝負する様は潔い。しかも至る所にハーモニーを上手く織り込むのが基本としてあるのでどこかこなれた感もある。良い意味でささくれの様なガサツキはそのままに#5 "Latoya"などで見せるセンチメンタルさすら感じるメロディが泣ける。キレキレに突っ走るでも無く、だからと言ってダレる事無く程よい緊張感で聞いていて安定感がある。#6 "Waldo Jackson"や#7 "Three O’Clock Kids"もなんとなく着地点が見えてるのは重々分かっていてもやっぱり良い。あれこれ考える前にウキウキする。アルバムが9曲で22分強というお決まりのスッキリ感も痛快。
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Bad Actors : LP [released]July 1, 2014 
*iTunes : Digital
 
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