2013-10-21

Hermetic / Heartbreakology


カナダはバンクーバーで活動するデュオ、Hermeticのカセット作「Heartbreakology」
今までには昨年のアルバムCivilized City」とその後にSurvival EP」をリリースしている。
デュオならではのタイトにひたすら一直線に疾走する#1 "Man of Letters"は同時にヘビーなギターサウンド。曲数的にはEPなのだろうが、パンチの効いたダイナミックな6曲が揃っている。しかし2人ともボーカルを取り、時に掛け合いも交えながらメロディックに歌い上げる。特に#2 "Heartbreakology"はサウンドとは反して伸びやかな雰囲気。ごつごつとしたハードさはあってもそちら側ばかりに偏る事なく全体的にポップな印象を残す。ポストパンクとも言える身軽さも兼ね備えている。反復するリズムの#3 "Goodness Greatness/Murder Ballad"や#4 "For Sammy (Instrumental)"はストイックな部分が一段と引き出ていてカッコいい。まさにヘビーポップ炸裂。デュオはバンドとして最小人数でも阿吽の呼吸や互いの良さみたいな物を引き出しつつだと魅力がより凝縮されるのだなと改めて感じた。
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*Alarum Records : Cassette[released]August 6, 2013 
*bandcamp : Digital
 
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2013-10-16

Cult Babies / Cult Babies EP

バンクーバーのバンド、Cult Babiesbandcampでリリースされた「Cult Babies EP」
今はサイケデリックと言っても様々なタイプがあると思うし何が王道かであまり拘りたくないのですが、どストレートめなサイケ/ガレージ感が潔く、かつ程よい浮遊感がさらに曲の効果を霧のように拡散させている印象。#1 "Minokawa"の目の覚める様なバキバキのロックサウンド、#2 "Good Death"ではシンセ(オルガンかも)の音色がダイナミックだ。なんだかコテコテで大げさすぎる位で丁度良く感じる。消えそうで消えない残響のまま次の#3 "Wait"へと繋がり、中盤ヴォーカルのハーモニーがは緩やかで優しいのにサウンドはどんどん熱を帯び混沌としていく。タイトなリズムも疾走感が前面に出ている時もあれば#6 "All Confused"のようなゆったりした雰囲気の時もあって曲同様に緩急が効いている。EPの初めと終わりでは随分印象が変化するのも聴きどころなのでは。全体的にもやががった残響感につい隠れがちだがメロディは目指すところがはっきりしていてノスタルジーみたいなものもわずかに漂わせる。ちなみに部分的にプロデューサーとして関わっているのが同じくバンクーバーのJay Arnerだそうで納得。—————————————————————————————————————————

*bandcamp : Digital[released]October 3, 2013 

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2013-10-06

Dr. Dog / B-Room

フィラデルフィアのバンドDr. Dogの8枚目(セルフリリース作も含む)のニューアルバム「B-Room」メンバーは昨年の「Be the Void」と同じで6人編成。前作との間にEP Wild Race」(デジタルのみ)もリリースしている。1999年から今までかなり長い間活動し続けていても基本的に中心メンバーは大きく変わらず。メインで歌い、アルバムでは交互にヴォーカルを取るScottとTobyコンビも健在だ。これがバンドとして良い作用になる場合とそうでない場合があると思うが、彼らは間違いなく前者だろうと感じた。
#1 "The Truth"を聴いた時はなんだか落ち着いてしまったと思ったがそうでは無さそうだ。ハーモニーの美しさを守りつつ、"ローファイ"の烙印を振り切る様にどんどん近代化していった空気感が今回は不思議とまた逆戻りしているのでは。もちろん今度はポップでパワフルな曲の構成や安定感を伴っての事。ピアノの音色がひと際クラシックな華やかさを出している#4 "Distant Light"、#7 "Long Way Down"の厚みのあるサウンドなのに対して#6 "Too Weak To Ramble"はアコースティック1本でひたすらシンプル。自信が伝わって来る。しかし幾つかの曲、特に#9 "Twilight"ではどこかつかみ所の無い、もやっとしたサイケデリックな雰囲気が初期を彷彿させる。この辺は好みは分かれるかもしれないが、彼らのユニークな魅力を再発見できた。始めはタイトルからしてベタな印象もした#11 "Love"もアルバムの良い位置に入っていてアルバムのキーポイントとなっている様に感じた。やや攻め気味の前作とはまた違ったおおらかさがある。
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ANTI- Records : LP/CD[released]October 1, 2013

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