2012-07-26

Sheer Agony / Sheer Agony 7"


モントリオールのSheer Agonyのセルフタイトルの7"。同じくモントリオールの素敵レーベルFixture Recordsから今年の6月にリリースされている。元々バンドは2010年にJackson MacIntoshとPlay Guitar、最近ではEach OtherのメンバーでもあるChristian Simmonsの2人からなるプロジェクトだったのが、さらに2011年にはSilver DappleのベーシストMarkus Lakeが加入し現在トリオで活動中。
レーベルのコンピレーションなどで曲を発表しつつだったのが、今回の7"でバンド初のレコードデビュー作となるようです。キャッチーに駆け巡るヴォーカル/ギター、それにメロディラインを自在に行き来するベースと軽やかかつキレ良くサウンドを支えるドラム。そんな3人の出す音がぴたっとパズルの様に合わさるとインパクト大で痛快感がハマります。でも雰囲気としてはのびのびしていてどの曲もポップでユニークでほんのり香るサイケデリックも相まって魅力がそれぞれの曲に沢山詰まっています。メンバー作というこのジャケットのアートワークも非常にいい味出してます。聴いていてどこか不思議な感覚にもなる素敵な4曲。
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Fixture Records : 7" [released]June 5, 2012
 Sheer Agony : bandcamp 

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Sheer Agony - Good Cats Go To Heaven from Mark Fragua on Vimeo.

2012-07-24

Bravestation / Giants & Dreamers


7月にリリースされたトロントの4人組、Bravestationのデビューフルアルバム「Giants & Dreamers」全体を通してトライバルなリズムが躍動しトロピカルな空気が漂いつつも、まるで水の中から地上を時の様な光のゆらめきと心地よい浮遊感のあるサウンドが耳を潤す。それに合わせて伸びやかなヴォーカルのハーモニーも曲にスッと浸透してさらにひんやりとした雰囲気を醸し、ポップで軽やか。 
冒頭の#1 "Tides of the Summit"からまどろむ。少しミステリアスな#3 "Signs of the Civilized"、と思ったら弾む音が軽快さを際立たせる#4 "Fluorescent Scenes" など、どれもまさに暑い夏に聴きたい全9曲。聴き終わると体感温度が下がっている様に思えるぐらいの清涼感。アルバムの音源はbandcampとiTunesで購入可能。(フィジカルではリリースされてないっぽい)このアルバムの前、2010年に出た7曲入りのEPは現在も彼らのbandcampでフリーダウンロード可能になっています。こちらもポップでよりリズムがぐっと前に出てる感じが力強くて良いです。
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bandcamp : Digital[released]July 10, 2012

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2012-07-22

Parlovr / Kook Soul


2008年にセルフタイトルのデビューアルバム、(始めはセルフリリースでのちにDine Alone Recordsから再発)2010年にシングル「Hell / Heaven / Big / Love」を経て今年の5月に待望の2ndアルバム「Kook Soul」をついにリリースしたカナダはモントリオールのトリオParlovr。前作もかなり素敵だったので首を長くして待っていたのですが、その期待を軽く上回るドリーミーさとアグレッシヴさが絶妙なバランスで共存し、思う存分発揮されていてもうこれは最高に良しで、#2"Just Marriage"や#9 "Amaze-Me-Jane"での爆発する勢いも安定感があって良い。
さらに前作より各曲の個性がくっきりして、細かい表情を持っている。スケールもぐっと広がっているのに決してツンと澄ました感じでは無く、むしろ喜怒哀楽をありのまま全力で表現しているかの様な潔さは、彼らにとって最大の魅力なのかなとも思った。でももちろん、それだけでは無く一番先に公開されていた#6"You Only Want It 'Cause You're Lonely"のしっとりとした雰囲気や#11"Bad Faith"の憂いを帯びながらといった様な曲の割合も増え、静から動にドラマチックに常に移り変わっていく。
よりダイナミックになったJeremyの叩く強力なリズムにAlexとLouisの掛け合いやメロディの綺麗さが際立っているのは、やはり多くのツアーなどで日々磨かれているからなのでは。今回もプロデュースはバンドとMartin Horn(ミックスはさらにTyler Crawfordも加わっている)レコーディングもDigital Bird Studiosで行われた様です。そして特筆すべきはカナダのバンドのみを対象とした今年のPolaris Music PrizeではLong List 20枚の中にがっちり選ばれています。
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Dine Alone Records : CD [released] May 15, 2012 

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そんなパワーアップした彼らのニュービデオも大変な事になってます!(笑)なんと言うか音楽以外のそういう部分も好きです。



2012-07-12

ミタメカマキリ / demo3


長野の男女4人組、ミタメカマキリ。初めて知ったのは昨年池袋ミュージック・オルグでのライヴ。全く音も知らないで演奏を目の当たりにした時は本当にびっくりしてこんな素敵バンドが居たのか!!と、目が釘づけ。一瞬でファンになりました。この時にライヴ会場でうきうきで購入した(※JET SETでも販売している)demo1demo2に続き3枚目となる demo3をリリース。
音源や実際のライヴでもびしびし伝わるバンドアンサンブルがまず魅力的ですが、とにかくポップでキャッチー。でもそれは大前提でさらに艶のある音、メロディに対して絶妙にマッチし脱力していて聴く程に頭に残る歌詞の世界観。と思ったら色んな事が同時に起こっている様な、にぎやかさが聴いてて楽しい個人的にジャンルとか容易にこれと言えないです。デモ3枚目の今作はその要素がますます凝縮されてユニークさもパワーアップ。4人の絶妙な掛け合いが強く引きつけられる#1 "踊れないわ"、ゆったりとした曲調から後半ぐっと深みを増す#2 "胸騒ぎ"、せわしないのにどこか軽やかな一体感が圧巻な#3 "宇宙家族"。という全3曲ながらもすごく濃い。もうハマらざるを得ないです。下に挙げた映像からも分かる様に演奏が相当カッコいい。
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Self Release :CDR [released] May 12, 2012 
※ミタメカマキリのライヴ会場、およびJET SET 

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2012-07-07

The Intelligence / Everybody's Got It Easy But Me


8枚目のニューアルバムをリリース、他これまでに沢山のシングルやスプリットなども出しているLars Finberg(元A Framesのドラマー)率いるThe Intelligenceシアトルから最近はロサンゼルスに移動した様です。メンバーは入れ替わりが激しいながらも、活動歴は長く結成は1999年。現在はやや不明ですが中心人物のLars FinbergThee Oh Seesのメンバー、Wounded Lionでも演奏したりと色々な所で活躍している。
毎度おなじみながっつりガレージ/パンクな要素にどこか不穏なイメージ、でも結果キャッチーでポップさはキープ!がやっぱりカッコいい。前作2010年の「Males」では畳み掛ける様な勢いだった印象だったのに対し、それぞれの曲がおのおの主張してる雰囲気。ほぼアコースティックの脱力感が良い#4 "Techno Tuesday"、アルバムの他の曲でのコーラスや特に#10の"Little Town Flirt"ではソウルフルな女性Voを前面にフューチャーしていたりと良い意味で質感が異なる感じもする。しかしそれもそのはず。よくクレジットを観てみると、曲によって参加している人、つまりはゲストって事だと思うが様々で固定されて無い。ここでさらっと挙げただけでもThe SandwitchesのHeidi Alexander、Thee Oh SeesのJohn DwyerとBrigid DawsonRed AuntsなどのメンバーだったLeslie Ishino、さらにThe ShinsのDave Hernandezなどなど。そのためアルバムで展開が読めない楽しさがあったりもする。でもなぜか逆にシンプルめにまとまっていて、今までの交友関係やキャリアあってこそのさすがの充実作。
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In The Red Records  : LP, CD[released] May 29, 2012 

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2012-07-01

Wintersleep / Hello Hum


カナダ・ハリファックスの5人組バンド、2001年に結成され現在の「Hello Hum」は5枚目のアルバム。Wintersleepは過去に日本盤にもなって来日もしているので、知ってる人は結構居るはず。さらに来日した年、2008年のJuno AwardでNew Group of the Yearを取っているので向こうではかなりの知名度だろうと思われます。※その時の受賞式の様子。メンバーは色々他のバンドやプロジェクトでも活躍するマルチな感じですがその中にはHoly Fuckに居たメンバー(2007年からWintersleep加入のMike Bigelow)も。活動歴が長いとはいえメンバーチェンジは1回しか無く、元々の3人だったメンバーが序々に増えていった感じです。
時に力強く、時に優しく歌い上げるPaul Murphyのヴォーカルがバンドの中核となっている様に思いましたが、どこか透明感があって曲の隅々に痺れる様なギターに痛快で豊かなドラムが駆け巡り、音が非常に分厚い。多くのカナダのバンドで見られる自然を彷彿させる様な雄大さはこのWintersleepもしっかり持っている。特に#2や#4の高揚感もすごく良いのですが、#6や最後の#11のただにぎやかなだけでないしっとりと落ち着いた曲も繊細で綺麗。パワフルかつきめ細やかな表現力がバンドが積み上げて来たキャリアを感じさせます。
私自身は前回の来日は観ていないのですごく悔しいです。また日本でライヴが観たいなと強く希望するバンドの1つです。
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Roll Call Records / EMI,Canada : Vinyl, CD, Digital[released] June 13, 2012 

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Wintersleep - In Came The Flood from Wintersleep on Vimeo.